1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457108
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小安 重夫 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90153684)
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Keywords | 自己寛容 / インターロイキン2 / MAPキナーゼ / CD28 / T細胞受容体 |
Research Abstract |
T細胞の自己寛容(トレランス)は免疫系が自己抗原に反応しないことを保証するために重要な現象である。そのメカニズムが崩れることは様々な自己免疫疾患などの誘導につながる。自己寛容の中心となるのは胸腺において自己反応性のT細胞を除去するネガティブセレクションであるが、胸腺においては検出できない抗原に対する末梢における寛容の成立にはアナジーと呼ばれる無反応状態の誘導が重要であると考えられる。通常の末梢の静止期のT細胞を活性化する際にはT細胞受容体(TCR)を介したシグナル伝達以外に,CD28分子を介した第二のシグナル伝達が必要であり、CD28のリガドンであるB7分子ファミリーを発現していない細胞によって自己抗原が提示された場合には細胞はインターロイキン2を生産できずにアナジーに追い込まれる。本年度はこのようなアナジー誘導のシグナル伝達に関して以下の知見を得た。1.アナジーを誘導するTCRシグナルのみの活性化ではMAPKスーパーファミリーメンバーの中のMAPKのみが活性化されるが、TCRとCD28のシグナルを共に受けてインターロイキン2を生産する場合にはMAPK,SAPK,p38の3つのMAPKスーパーファミリーメンバーが活性化される。2.SAPKとp38の活性化はインターロイキン2の生産に対して相加的に作用することからSAPKとp38は等価と考えられるが、MAPKはこれらのキナーゼと相乗的に作用する。現在トランスジェニックマウスを用いてin vivoで誘導したアナジー状態のT細胞について解析を始めたところであり、来年度にはin vivoでのアナジーの分子機構を詳細に解析する予定である。
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