1997 Fiscal Year Annual Research Report
環境における化学物質リスクアセスメント手法に関する研究
Project/Area Number |
08457112
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
和田 攻 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60009933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳沢 裕之 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (10200536)
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Keywords | 化学物質 / リスクアセスメント / CATアッセイ |
Research Abstract |
化学物質の安全性評価については、従来の方法に対して様々な問題点が指摘されている。発癌毒性の評価についていえば、通常大量投与した動物実験データを用いてヒトの安全基準値を求めることになるが、この際種差は考慮されず、低濃度外挿の方法も確立されていない。さらに動物実験自体についても、長期間の観察と、膨大な数の動物の犠牲を要する。こうしたことを解決するための一方法として、我々は、新しい安全性評価方法として、ヒトの細胞を用いて直接的に毒性を評価できないかどうか検討してきた。すなわち、ヒト細胞を用いて種差の問題を解決し、より直接的な細胞毒性をある程度の低濃度で多数の検体について調べることができ、しかも動物の犠牲を払わない方法である。このような基本戦略に基づいて、我々は、ヒト肝細胞を用いたクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)アッセイを開発し、ヘテロサイクリックアミン(IQ,PnIP)、カドミウム、砒素、アフラトキシンB_1についてそれらの毒性を検討した。ヘテロサイクリックアミンについては、IQ,PnIPともにCATアッセイは陰性であった。カドミウム、砒素では、メタロチオネインやグルタチオンの他、ストレス蛋白で発現の亢進が見られた。アフラトキシンB_1については、c-fos,p53およびその関連蛋白、コラゲナーゼ、ストレス蛋白などで発現の亢進が認められた。本法は、細胞毒性や発癌機序に対して貴重な情報をもたらすものの、化学物質の安全性評価を定量的に観察するためにはさらなる工夫が必要と思われる。しかしヒトの細胞を用い、動物実験を行わなくてもよい点で、非常に有用な毒性評価法の一つと考えられる。
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Research Products
(2 results)