1997 Fiscal Year Annual Research Report
脳微小透析ならびに行動薬理学的手法による胎児期メチル水銀微量曝露の影響の検討
Project/Area Number |
08457124
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 洋 東北大学, 医学部, 教授 (40125571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 知保 東北大学, 医学部, 助手 (70220902)
出嶋 靖志 杏林大学, 保健学部, 講師 (00237025)
小山 洋 東北大学, 医学部, 助教授 (30143192)
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Keywords | メチル水銀 / 胎生期曝露 / 神経伝達物質 / ドパミン / マウス / オープンフィールド試験 / 放射状迷路試験 / ビーム・バランス試験 |
Research Abstract |
本年度は,前年度に決定した投与プロトコル(0,0.3,1.0mgHg/kg/dayを胎生期8〜17日の連日投与)に従って胎生期メチル水銀への微量長期曝露マウスを作成し,複数の行動機能への曝露の影響を比較するとともに、微小透析による神経伝達機能への影響を評価することを目的とした.行動試験については,まず,成熟後長期間を経てからの影響を把握するため,前年度作成した胎児期曝露マウスが約10ヶ月齢に達した時点でオープンフィールド,放射状迷路試験を実施した.その結果,オープンフィールドでは移動区画数・脱糞数などの指標に曝露の影響が認められた.放射状迷路試験では曝露の影響は明らかではなかったが,長期飼育マウスは曝露/非曝露にかかわらず著しい過体重の状態にあることが,絶食を必要とするこの試験では撹乱要因になるものと思われた.これらの点を踏まえ,胎生期曝露マウスを再び作成,過体重に至らない,2カ月齢程度での行動試験を実施した.実施に先立ち,新たに試験項目として加えたビームバランス試験(平衡感覚ー運動機能試験)の条件を決定した.オープンフィールド試験の結果,曝露群で移動区画減少が大きい傾向が再現された.したがってオープンフィールドは長期微量曝露の影響を一貫して検出することが可能であった.放射状迷路・ブームバランス試験は現在実施中である.一方,線条体微小透析については,前年度確立したマウス線条体での細胞外ドパミン放出に,胎生期メチル水銀毒性の修飾因子として知られるセレンが及ぼす影響を検討して報告した.現在,胎生期水銀曝露がこのドパミン放出にもたらす影響,およびin vitroでの知見があるグルタミン酸放出への影響をあわせて測定中である.最終年度は、影響の認めれた伝達系に薬理学的操作を加えることにより,行動影響との関連を明らかにすることを目指す.
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[Publications] Watanabe C.et al.: "Deficiency of selenium enharces the K±induced release of dopomine in the stniatum of mid." Neuroscience Letters. 236. 49-52 (1997)
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[Publications] 渡辺・吉田・小山・笠沼・佐藤: "マウス胎児期におけるメチル水銀曝露が母体胎児系Se含有酵素の活性に及ぼす影響" Biomed Research an Trace Elewouts. 8. 199-200 (1997)