1997 Fiscal Year Annual Research Report
アルコールと内因性急死に関する法医学的研究(血管の反応を中心にして)
Project/Area Number |
08457149
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
羽竹 勝彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40164842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 知恵子 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (20264848)
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Keywords | 内皮細胞 / EDRF / EDHF / 上腸間膜動脈 / ラット |
Research Abstract |
血管内皮細胞は種々のアゴニストに反応し内皮細胞から生理活性物質を産生放出して弛緩反応を引き起こすことが知られている。現在この生理活性物質として一酸化窒素(NO)と未だ同定されていない物質であるが平滑筋を過分極させる因子(EDHF)の2つが知られている。平成8年度においてエタノール(EtOH)はEDHFを介した弛緩反応を抑制することを明らかにしたが、9年度においてはその抑制機序を明らかにすべくラット上腸間膜動脈を用いて検討を行った。EDHFは内皮細胞で合成・放出され平滑筋細胞のカリウムチャンネル(Kch)を活性化させ過分極を引き起こして弛緩反応を生じさせる。数種類のタイプの異なったKchが知られており血管により異なったKchが関与しているものと思われる。そこで上腸間膜動脈において、EDHFがどのKchを介して弛緩反応を呈しているかを検討したところCa^<++>流入によって活性化されるタイプのKch(Ca-activated Kch)を介していることが予想された。従ってこのCa-activated Kchを刺激するアゴニストを用いて検討すれば、EtOHの抑制機序が内皮細胞のレベルかあるいは平滑筋レベルで弛緩反応を抑制しているのかが明らかになる。残念ながらCa-activated Kchアゴニストは入手できず、かわりにNOと同様に平滑筋細胞のグアニレート サイクレースを刺激するソデュウム ニトロブルシッドを用い、この弛緩反応に対するEtOHの影響を検討したが抑制作用は認められなかった。従ってEtOHは少なくとも平滑筋細胞に対して非特異的作用によりEDHFを介した弛緩反応を抑制していないと判断される。以上総合的に判断して、EtOHのEDHFを介した反応の抑制機序は内皮細胞レベルか平滑筋レベルか明確には出来なかったものの少なくとも非特異的作用ではなく、またNOを介したEtOH抑制機序に関する報告から見ておそらく内皮細胞でのEDHFの合成・放出の抑制作用にあるものと思われるが、この点に関しては今後の検討課題となろう。
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Research Products
(1 results)