1997 Fiscal Year Annual Research Report
腸粘膜において誘導される抗原特異的リンパ球migrationの制御機構について
Project/Area Number |
08457174
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三浦 総一郎 慶應義塾大学, 医学部・内科, 助教授 (50138012)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重松 武治 慶應義塾大学, 医学部・内科, 助手 (10245483)
芹澤 宏 北里研究所, 付属病院・内科, 医員 (60187870)
|
Keywords | 腸管炎症 / Tリンパ球homing / パイエル板 / エンドトキシン / PG / PS / α4-integrin / postcapillary venule / リンパ球接着 |
Research Abstract |
腸粘膜のリンパ球は、同一部位に留まるのでは無く、管腔よりの刺激を受けた腸粘膜のリンパ球は腸管リンパを経て体循環へ運ばれ再びPeyer板より腸壁へ戻るrecirculationを繰り返している。申請者らは平成8年度にConcanavalin Aにより非特異的に刺激を受けたリンパ球のhomingが、ナイーブなリンパ球のそれと比べてどのように異なるかにつき検討したが、9年度は刺激を受けたTリンパ球が腸管炎症に伴いどのようにhomingが変化するか解析することとした。ラット回腸部Peyer板および絨毛粘膜部を麻酔下に恒温槽を装着したステージ上に展開し、蛍光顕微鏡下に観察した。腸管リンパより分離したTリンパ球をin vitroで蛍光プローベcarboxyfluorescein succinidimyl ester(CFSE)を用いて標識し、recipientに投与し腸粘膜微小血管およびPeyer板のpost-capillary venule(PCV)への接着の様相を検討した。腸管炎症のモデルとしてエンドトキシン投与およびpeptidoglycan polysaccharide(PG/PS)による慢性肉芽腫性病変形成モデルを用いた。 1。エンドトキシンにより刺激を受けたTリンパ球は、ナイーブなそれと異なり、パイエル板への血管内皮への接着が増加した。しかし、エンドトキシンによる刺激はパイエル板PCVでの増加とともに、non-lymphoidの絨毛粘膜における粘膜下層や絨毛先端の微小血管(細静脈あるいは毛細血管)への接着を著しく亢進させた。パイエル板での接着増強は接着分子α4-integrin dependentと考えられたが、絨毛先端でのそれは別の接着分子の関与が示唆された。 2。PG/PSの局所投与により肉芽腫性病変が形成されるが、その際マクロファージの集積が明らかになる時期に先行して、腸粘膜微小循環への活性化Tリンパ球の集積が認められた。またα4-integrinに対する抗体によってこれらの病変は有意に抑制された。 以上より、刺激されたリンパ球はナイーブなそれと異なる血管内皮とのinteractionを示し、その変化はα4-integrin dependentおよびnon-dependentの部分が存在することが示された。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Miura,S.et al: "Vasoactive intestinal peptide modulates T lymphocyte migration in Peyer's patches of rat small intestine." Am.J.Physiol. (Gastrointest.Liver Physiol.). 272. G92-G99 (1997)
-
[Publications] Tsuzuki Y.,Miura,S.et al: "Enhanced lymphocyte interaction in postcapillary venules of Peyer's patches during fat absorption in rats." Gastroenterology. 112. 813-825 (1997)
-
[Publications] Tanaka,S.,Miura,S,et al: "Amelioration of chronic inflammation by injestion of elemental diet in a rat model of granulomatous enteritis." Dig.Dis.Sci.42. 408-419 (1997)
-
[Publications] Fujimori H,Miura.S.et al: "Migration of activated T lymphocytes to hepatic sinusoid." Microcirculation annual 1997. 165-166 (1997)
-
[Publications] 穂苅量太.三浦総一郎 他: "活性化Tリンパ球の腸粘膜におけるmigration動態" Prog.Med.17. 1956-1958 (1997)