1996 Fiscal Year Annual Research Report
発症初期喘息患者における気道の炎症性変化とステロイド吸入療法の必要性に関する検討
Project/Area Number |
08457185
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
福田 健 獨協医科大学, 医学部, 教授 (90088873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 宏和 獨協医科大学, 医学部, 助手 (10275753)
沼尾 利郎 獨協医科大学, 医学部, 講師 (60172748)
戸田 正夫 獨協医科大学, 医学部, 講師 (50175478)
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Keywords | 気管支喘息 / 発症初期喘息 / 気道炎症 / 基底膜肥厚 / 気道過敏性 / 吸入性ステロイド |
Research Abstract |
本年度は、発作性呼吸困難、喘鳴が受診前12カ月以内に初めて起こり、FEV_1、PEF低下で示される気道の閉塞がβ刺激剤の投与により20%以上改善する発症初期喘息患者を可能な限り多数集め、それらの患者の気道の炎症性変化を観察し、気道過敏性の程度を調べることを目標とした。平成8年12月までに20名の対象患者に本研究に参加してもらうことができた。全例においてインフォームド・コンセントを取得後、気道過敏性測定のためのアセチルコリン吸入試験と気道の炎症性変化を観察するための気管支粘膜生検を行った。気管支粘膜内好酸球数算定、基底膜の厚さの測定はHE染色標本で行った。活性化好酸球数、好中球数、肥満細胞数、Tリンパ球数、ヘルパー/インデユウサ-T細胞数算定は、それぞれ、抗EG2、抗ヒト顆粒球エラスターゼ、抗トリプターゼ、抗CD3,抗CD4モノクロナール抗体を用いた免疫染色標本で行った。以上の組織学的測定には本科学研究費で購入したオリンパス社製システム顕微鏡に連結したモニターテレビ、画像解析用コンピュータ、画像解析ソフトを用いた。現時点ですべての計測が終了したわけではないが、粘膜下層、上皮内に好酸球、EG2陽性の活性化好酸球が認められた。単位面積当たりのこれらの細胞数には個人差があったが、全体としてみると発症後2年以上経過している喘息と変わらない印象であった。また、抗ヒト顆粒球エラスターゼ、抗トリプターゼ抗体染色陽性細胞数も認められ、好中球、肥満細胞の存在も確認された。一方、基底膜の肥厚例はほとんどなく、コントロールと差がなかった。気道過敏性の指標であるPC20-Achは、1.25〜10mg/mlで軽度の気道過敏性が存在していた。
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