1996 Fiscal Year Annual Research Report
間質性肺炎を伴うヘルマンスキー・パドラック症候群の遺伝子異常の解析
Project/Area Number |
08457186
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
田村 尚亮 順天堂大学, 医学部, 講師 (10188435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬戸口 靖弘 順天堂大学, 医学部, 助手 (90206649)
高橋 英気 順天堂大学, 医学部, 講師 (90216747)
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Keywords | ヘルマンスキー・パドラック症候群 / 間質性肺炎 / 点突然変位 |
Research Abstract |
Hermansky-Pudlak症候群(以下HPS)はoculocutaneus albinism、血小板機能異常による出血傾向、骨髄及びその他の臓器におけるセロイド様物質の沈着を3主徴とし、常染色体劣性遺伝を示す家族性疾患である。HPSはプエルトリコ、スイスでの多発に加え、本邦における報告も確認されている。本邦及びプエルトリコの症例では、高率に間質性肺炎を発症して死亡するが、スイス症例では間質性肺炎を発症せず天寿を全うするという特徴に着目した。すなわち、HPS遺伝子の解析から、間質性肺炎発症遺伝子あるいはそれに関連した遺伝子異常を同定することが目的とした。 全国の大学病院・市中病院の協力で10例の剖検症例より肺組織の一部を集積し、末梢血より採取しえたゲノムDNAと共に解析に供した。polymorphic microsatellite PCRマーカー(D10S677、D10S110、D10S184など)を用いてHPS症例のDNAをテンプレートとしてPCRを行ったところ、共同研究者である米国ウィスコンシン大学のSpritz教授らによって報告されているプエルトリコ、スイス症例に認められる染色体10q23.1-q23.3と同一部位における遺伝子異常の存在が確認された。さらにpositional cloning法により、本邦症例、プエルトリコ、スイス症例の一部よりHPS関連遺伝子を同定し、その遺伝子異常の存在も確認した。しかし、その異常は各国症例ごとに異なっていた。本邦症例で認められたpoint mutation(Ala 441でのframe shift)はプエルトリコ症例、スイス症例では認められなかった。本邦症例の全例での遺伝子同定もまだその過程にある。本遺伝子の機能的意義付けとともに、遺伝子異常が間質肺炎発症にどのような役割を演じているかについては、次年度以降の検討課題である。
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