1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457199
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 正明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30111371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 則之 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20250681)
松本 健郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30209639)
田林 晄一 東北大学, 医学部, 教授 (90142942)
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Keywords | 動脈硬化 / 血流動態 / せん断応力 / 内皮細胞 / 接着蛋白 / 物質透過性 |
Research Abstract |
本年度は最終年度として,主題に関し以下の3点から多角的に検討を加えた. 1.内皮細胞におけるVCAM-1の発現と動脈硬化の局在性 動脈壁におけるマクロファージの内皮下組織への浸潤には,内皮細胞表面に発現するVCAM-1が大きく関与している。そこでモルモットを実験動物として用い,測定対象部位として大動脈弓部,下行大動脈を選び,血流の状態と内皮細胞に発現するVCAM-1の関連性を検討した.大動脈弓部ではVCAM-1は内皮細胞表面に環状に多数分布していた.それに対して下行大動脈では,VCAM-1は全体的に線状に分布しており,明らかな分布の違いが見られた. 2.流れの方向変化が培養内皮細胞に及ぼす影響 生体内おける逆流や二次流れが内皮細胞に及ぼす影響を検討するため,流れの方向変化が培養内皮細胞に及ぼす影響を調べた.その結果,30分,1時間間隔で直交方向に流れの方向を変化させて,2Paのせん断応力を24時間負荷すると,2つの流れの平均的な方向へ配向・伸長した.ところが,3分間隔で方向を変化させた場合には,24時間負荷後には多くの細胞が基質から剥がれ,基質に残った細胞にはストレスファイバが観察されなかった.この現象は,短時間の流れの方向変化に内皮細胞が対応できず,ストレスファイバの形成が行われずに,基質から剥がれてしまったと考えられる. 3.動脈組織片を用いた内皮細胞へのせん断応力負荷装置の開発 従来,培養内皮細胞を用いた実験と動物実験では矛盾点が生じている.そこで,摘出したウサギの動脈組織内面に流れを負荷する装置の開発を行った.血管軸と直交に1Paのせん断応力を負荷した結果,内皮細胞は72時間後に新たな流れの方向に配向した.これにより,装置の妥当性が確認された.
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Research Products
(13 results)
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[Publications] T.Aoki: "The pipette aspiration applied to the iocal stiffness measurement of soft tissues" Annals of Biomedical Engineering. 25. 581-587 (1997)
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[Publications] 大橋俊朗: "矩形断面ピペットを使った生体軟組織弾性率の測定に関する解析と実験" 日本機械学会論文集C編. 63・607. 867-874 (1997)
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[Publications] 片岡則之: "低密度分布及びコロニー状態での培養内皮細胞の流れに対する形態反応" 日本機械学会論文集C編. 63・607. 838-845 (1997)
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[Publications] 松本健郎: "平滑筋収縮・弛緩によるラット胸大動脈の残留ひずみ変化-大動脈上の位置による応答の変化-" 日本機械学会論文集C編. 63・607. 853-858 (1997)
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[Publications] 片岡則之: "ラット大動脈における物質透過率と血管内皮細胞の形態の関連性" 日本機械学会論文集C編. 63・607. 846-852 (1997)
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[Publications] 伊豫田敬: "イヌ左心室壁の収縮期における残留ひずみ計測-心筋走行と局部ひずみの関連性-" 日本機械学会論文集C編. 63・607. 859-866 (1997)
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[Publications] T.Ohashi: "lntramural distribution of local elastic moduli in bobine thoracic aorta measured by pipette aspiratoin meshod" Cellular Engineering. 2・1. 12-18 (1997)
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[Publications] N.Kataoka: "The effect of flow direction on the morphoiogical responses of cultured bovine aortic endothelial cells" Medical and Biological Engineering and Computing. 36・1. 122-128 (1998)
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[Publications] 高橋淳子: "ヒト血漿の自己蛍光の特徴および酸化による蛍光の変化の特徴" 脈管学. 38・2. 109-116 (1998)
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[Publications] 片岡則之: "せん断応力負荷の初期過程における培養内皮細胞の形態およびF-アクチンフィラメントの変化" 日本機会学会論文集. (印刷中).
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[Publications] N.Kataoka: "The morphological responses of cultured bovine aortic endotheliai cells to fluid-imposed shear stress under sparse and colony conditions" JSME International Journai. (印刷中).
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[Publications] 佐藤正明(著者分担): "生体機械工学" 日本機械学会, 294 (1997)
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[Publications] 佐藤正明(著者分担): "流体実験ハンドブック" 朝倉書店, 720 (1997)