1997 Fiscal Year Annual Research Report
転写制御因子C/EBPδを介する血管平滑筋細胞増殖・肥大のメカニズムに関する検討
Project/Area Number |
08457210
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Research Institution | EHIME UNIVERSITY |
Principal Investigator |
日和田 邦男 愛媛大学, 医学部, 教授 (00108391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大蔵 隆文 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (40260385)
北見 裕 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (10234270)
小原 克彦 愛媛大学, 医学部, 助教授 (30260384)
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Keywords | 血管平滑筋細胞 / 細胞増殖 / 血小板由来成長因子受容体 / 5'-上流域 / 転写制御因子 / CCAAT結合タンパク / C / EBPδ / プロモーター活性 |
Research Abstract |
C/EBPファミリーはCCAAT結合タンパクの1つであり、主に肝臓における糖・脂質代謝やマクロファージにおける細胞性免疫に関与する遺伝子の転写制御を担っている。今回、我々はC/EBPファミリーの血管平滑筋細胞(VSMC)における生理機能を明らかにする目的で、VSMCにおける血小板由来成長因子(PDGF)α-受容体遺伝子(PDGFαR)が主にC/EBPファミリーによって転写制御されることを利用し、VSMCの増殖・分化に果たす役割について検討した。まず、高血圧自然発症ラット(SHR)とその対照としての正常血圧ラット(WKY)より樹立したVSMCにおけるPDGFαRおよびC/EBPファミリーの主要なメンバーC/EBPα,βおよびδについて、その発現量を比較したところ、SHR由来の細胞ではPDGFαRおよびC/EBPδmRNAが過剰に発現されており、C/EBPδの異常な発現によってPDGFαRの過剰発現が制御されていることが明らかにされた。また、C/EBPδの発現を制御する因子として知られているIL-1βの投与により、時間依存的あるいは容量依存的にPDGFαR遺伝子転写活性が増加した。さらに、バルーン傷害血管モデルを用いた検討においても、傷害早期(1〜2日)に傷害中膜層を中心として、C/EBPδの過剰発現を認め、新生内膜完成期(2〜3週間後)にPDGFαRの発現が誘導されることが明らかにされた。また、外膜側の、特に脂肪組織で傷害早期より著明なC/EBPδの発現誘導が認められ、バル-ス傷害の外膜に対する影響も新生内膜の増生に関与しているものと考えられた。以上の結果より、血管平滑筋の細胞増殖・肥大の分子メカニズムに転写制御因子の1つであるC/EBPファミリーが関与しており、特にC/EBPδの果たす役割が重要であると考えられ、今後C/EBPδの生体内での役割を明らかにするために、トランスジェニック・ラットの作製とその機能解析を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 福岡富和, 北見裕, 大蔵隆文, 間口元文, 伊賀瀬道也, 小原克彦, 日和田邦男: "血管平滑筋細胞における核内転写制御因子C/EBPδ遺伝子の発現調節" 血圧. 4・3. 265-271 (1997)
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[Publications] Fukuoka T, Kitami Y, Kohara K, Hiwada K: "Molecular structure and function of rat CCAAT-enhancer binding protein-delta gene promoter." Biochem Biophys Res Commun. 231・1. 30-36 (1997)
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[Publications] Kitami Y, Fukuoka T, Okura T, Takata Y, Maguchi M, Igase M, Kohara K, Hiwada K: "Molecular structure and function of rat platelet-derived growth factor β-receptor gene promoter." J Hypertens. 16(in press). (1998)
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[Publications] Kitami Y, Fukuoka T, Hiwada K, Inagami T: "Differential gene expression of the platelet-derived growth factor α-receptor in vascular smooth muscle cells of genetically hypertensive rats:reoles of CCAAT-enhancer binding proteins." Circ Res. (in press). (1998)