1996 Fiscal Year Annual Research Report
NMDA受容体機能評価のためのポジトロン標識核医学診断薬の開発
Project/Area Number |
08457244
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 稔 九州大学, 薬学部, 教授 (70101178)
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Keywords | NMDA受容体 / フッ素-18 / 炭素-11 / 標識合成 / ラジオリガンド / イメージング |
Research Abstract |
本研究はNMDA受容体イオンチャンネル部位へのリガンドの接近メカニズムに着目し,open channel stateとclosed channel stateの識別およびその機能変化を捉えることが可能なインビボリガンドの開発を目的としている.そのための戦略として,親水的経路により受容体に結合するリガンドとしてTCP分子,疎水的経路により結合部位に接近するリガンドとしてキノリジニウム分子を選択して設計し^<11>Cあるいは^<18>F標識合成およびその機能評価を行なう.TCP分子のシクロヘキサン環にCH_2O^<11>CH_3基を有するラジオリガンド(TCP-^<11>C)の標識合成をO-メチル化反応を利用して,合成時間24分,放射化学的収率40%で達成した.正常マウスにおけるインビボ結合を検討した結果,TCP-^<11>Cは高い脳移行性を示したが,脳での放射能の保持は観察されず,受容体特異性に乏しいものと考えられる.一方,キノリジウム分子については、数種の化合物を合成し、それらのNMDA受容体への結合能をラット能ホモジネートを用いて[^3H]TCPとの競合阻害実験にて評価した.チオフェン環にハイドロキシエチル基を1個導入した化合物は2個導入したそれよりも高い受容体親和性を示した.更に,このハイドロキシエチルの水酸基の代わりにフッ素原子を導入しても,活性低下に至らなかった.また,ベンゼン環部にフルオロエチルオキシ基の導入にも成功し,このフッ素誘導体も高いNMDA受容体親和性を示した.引き続き,これらの^<18>F標識合成を反応条件や精製法の観点から予備的に検討し,純度の高いリガンドを得る方向性を確立することが出来た.これらのラジオリガンドはインビボにおけるNMDA受容体の特異的イメージング剤の有力な候補として期待される.
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