1997 Fiscal Year Annual Research Report
分裂病のP300減衰の病態モデル動物での再現の試み 幼若期海馬障害ラットにおけるP3様成分の変化について
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08457251
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
丹羽 真一 福島県立医科大学, 神経精神科, 教授 (30110703)
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Keywords | ドーパミン / フェンサイクリジン / 精神分裂病 / 発達障害 / 行動評価 |
Research Abstract |
昨年度は、生後7日目にイボテン酸にて腹側海馬を破壊したSD系雄性ラット(傷害群)では、同様の手技にて生理的食塩水を注入した対照群に比して、生後35日目には行動量の変化が見られず、生後56日目に環境変化、覚醒剤急性投与、フェンサイクリジン投与で有意に行動量が増加することを確認した。(発達障害の観点からの分裂病モデルの作成)また、内側前脳束刺激を報酬として2音弁別課題を学習させ、ヒトのP300に相同のP3様成分をラットより導出した後、覚醒剤を慢性慢性投与することによってP3様成分が減衰することを見出した。(分裂病の脆弱性のモデルとしての覚醒剤慢性投与ラットからのP3様成分の導出、分裂病にみとめられるP300減衰の動物モデルの作成)本年度は昨年までの研究を発展させ、以下の結果を得た。 1.SD系雌性ラットにおいて、同様の条件で行動量の変化を測定し、雄性ラットと同様に対照群と傷害群との間に生後35日目には明確な行動量の変化は認められず、生後56日目に新生仔期腹側海馬傷害ラットにおいて有意な行動量の増加が認められることを確認した。 2.また同様の手順で腹側海馬を傷害した雄性ラットにおいて生後62日目のラットの前頭前皮質のdopamineおよびserotonin量をmicrodialysis法によって測定した。現在の時点では統計学的に検討できるだけの例数が集積されていないが、さらに来年度はフェンサイクリジン投与後のdopamine、serotonin量の変動についても検討する。 3.内側前脳束刺激を報酬としてラットからP3様成分を導出する手法を用いて、新生仔期腹側海馬傷害ラットからP3様成分を導出することに取り組んでいる。傷害ラットでは学習が極めて困難で、また海馬の傷害の程度によって結果は一貫していないため、来年度は対象数の増加を目指す。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] 伊藤光宏: "精神分裂病の認知障害" 精神病治療の最新情報. 3(3). 10-12 (1997)
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[Publications] Ito,M: "Attention dificits assessed by Continuous Performance Test and Span of Apprehension Test in Japanese schizophrenic patients." Schizophrenia Research. 23. 205-211 (1997)
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[Publications] 丹羽真一: "分裂病の認知障害" こころの科学. 73. 2-6 (1997)
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[Publications] 丹羽真一: "分裂病の臨床(1)-診断・治療の進歩" 日本医事新報. 3816. 19-32 (1997)
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[Publications] 丹羽真一: "分裂病の臨床(2)-診断・治療の進歩" 日本医事新報. 3817. 18-25 (1997)
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[Publications] 丹羽真一: "発症予防の観点から見た精神分裂病の病態" 日本社会精神医学会雑誌. 5(2). 224-227 (1997)
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[Publications] 丹羽真一: "認知科学から見た分裂病の症状" 臨床精神病理. 18(2). 106-109 (1997)
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[Publications] 丹羽真一: "「分裂病と分裂病型人格障害の臨床的研究」の概要" 精神分裂病研究の進歩. 6(1). 104 (1997)
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[Publications] Fukuda,M: "Behavioral and P3 amplitude enhancement in schizophrenia following feedback training" Schizophrenia Research. 25. 231-242 (1997)
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[Publications] 斎藤薫: "精神分裂病患者の思考障害に対するHarrow思考障害スケール(日本語版)の有用性の検討" 臨床精神医学. 26(11). 1443-1451 (1997)
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[Publications] 宍戸壽明: "Methamphetamine単回 ラット脳におけるtyrosine hydroxylase mRNAの経時的変化" 精神薬療基金研究年報. 28. 184-189 (1997)