1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457288
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今井 圓裕 大阪大学, 医学部, 助手 (00223305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 安史 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助教授 (10177537)
守山 敏樹 大阪大学, 健康体育部, 助手 (30283815)
山内 淳 大阪大学, 医学部, 助手 (10271024)
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Keywords | TGF-β / PDGF-B / 糸球体腎炎 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
TGF-βは多様な作用を持つサイトカインであり、細胞外基質増加、細胞増殖の抑制等が知られており糸球体腎炎の進展には重要な鍵を握る因子である。TGF-βII型受容体細胞外ドメイン-IgGFcキメラ分子(TGFbRII-IgG)を用いることにより、腎疾患が進展するときに過剰発現するTGF-βを抑制することを試みた。ヒトTGF-βII型受容体の細胞外部分とヒトIgGのFe部分のcDNAを接続し、pCDMに組み込みキメラ抗体を発現するベクターを作製した。このベクターをCOS細胞に導入して発現するTGFbRII-IgGを精製した。精製されたTGFbRII-IgG分子によりTGF-β抑制作用はBNul-7細胞の増殖抑制効果およびファイブロネクチンEDA+の遺伝子発現により評価した。1.25ng/mlのTGF-β作用を完全に抑制するTGFbRII-IgG量は1μg/mlであった。さらに抗Thy1腎炎モデルラットの糸球体硬化が抑制できるかを検討した。Thy-1抗体投与翌日に大腿四頭筋にTGF-βRII-IgG遺伝子を導入すると7日目に腎糸球体のTGF mRNAレベルは抑制され、また細胞外基質の産生も抑制された。このTGFbRII-IgG分子はin vivo,in vitroにおいてTGFb作用を抑制し、糸球体硬化を抑制する可能性が示唆された。また、同様にPDGF-b受容体細胞外ドメイン-IgGキメラ分子の効果をin vitroで確認後、このキメラ分子を遺伝子導入することにより糸球体腎炎を抑制することを試みた。その結果、キメラ分子発現ベクター導入群の糸球体では細胞増殖のマーカーであるPCNA陽性細胞数の著明な低下が認められた。糸球体のmRNAレベルは同群でTGF-β1・I型コラーゲン・FNのmRNAが抑制されていることが確認された。この作用は発現ベクターを病変惹起の1日前に投与した群で強く認められた。また、糸球体像においても細胞外基質産生が強く抑制されていることが確認された。レセプターキメラ分子発現ベクター遺伝子の筋肉への遺伝子導入により、過剰発現したキメラ分子を血流を介して作用させることが可能となり、この方法によりTGF-βおよびPDGFの過剰発現による進行性腎障害に対して、遺伝子治療の可能性が示唆された。
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[Publications] Isaka Y,et.al.: "Gene therapy by skeletal muscle expression of decorin prevents fibrotic diseases in the rat kidney" nature medicine. 2(4). 418-423 (1996)
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[Publications] Imai E et al.: "Application of Autisense Oligonucleotides (ODNs) for the intervesstion of kidney disease" Contribution to nephrology. 118. 86-93 (1996)
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[Publications] Akagi Y et.al.: "Inhibition of TGF-β 1 expression by antisense oligonucleotides suppressed extracellular matrix accumulation in experimental glorerulacphvitis" Kidney Int. 50. 148-155 (1996)
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[Publications] Isaka Y,Imai E: "Molecular Bioioglcal Intervention" Seminars in Nephrology. 16(5). 591-598 (1996)