1996 Fiscal Year Annual Research Report
人工赤血球(ネオレッドセル)の臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
08457308
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
薄場 彰 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (00145608)
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Keywords | Liposome encapsulated hemoglobin / ネオレッドセル / 出血性ショック / 粘度 / 酸素運搬効率 / 循環動態 / 酸素消費量 |
Research Abstract |
Liposome encapsulated hemoglobinのネオレッドセル(以下NRC)は血液の約1/3と極めて低い粘度と赤血球の2倍以上の酸素運搬効率を有する。そこでNRCを出血性ショックに対する投与効果について検討した。雑種成犬を用い、気管内挿管後調節呼吸とし50%の酸素を吸入させた。静脈より30ml/minの速度で脱血し、同時に静脈へ同速度でNRCを注入した4頭を1群、同様に脱血し動脈の収縮期圧が60mmHgのショックになるで脱血を継続し、直ちにNRCを動脈圧が術前値に回復するまで同速度で注入しそれを3回繰り返した7頭を2群、同様にショックになるで脱血し、そこで30分間治療せずに放置後NRCを脱血と同速度で動脈圧が術前値に回復するまで注入しそれを3回繰り返した6頭を3群とした。NRC投与量は1群、2群では脱血量とほぼ等量であったが3群では脱血量の1.7倍量を必要とした。体血圧、心拍数は各群とも減少した。1、2群では前末梢血管抵抗指数(TPRI)が減少し心拍出量(CI)が増加したが、3群ではTPRIは減少せずCIも増加しなかった。肺動脈圧(PAP)は、1、2群では若干増加したが3群では著明に減少した。酸素消費量は1群2群では変化無かったが、3群では増加した。これに対し、ヘモグロビン1g当量の動静脈酸素含量較差(AVD)は1群、2群では赤血球、NRC共に術前術後で変化せず、しかも赤血球、NRC間で有意差もなかった。一方、3群では赤血球では術前術後で変化無かったが、NRCでは術後有意に増加し、赤血球と比較しても有意差がみられた。以上侵襲の軽度な1群、2群でTPRIが減少、CIが増加しNRCの低い粘度が循環を改善した。一方重度ショックの3群は、他群の1.7倍量のNRCを投与したが依然hypovolemiaを示し、TPRIが増加し、CIが減少した。NRCはAVDを増加させ酸素需要を満足させ、重度ショックに対し高い有効性を示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 薄場 彰,ほか: "人工血液の開発と展望" 日本外傷学会雑誌. 10・1. 4-12 (1996)
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[Publications] 薄場 彰,ほか: "人工血液の開発状況" Clinical Engineering. 17・9. 815-820 (1996)
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[Publications] 薄場 彰,ほか: "重篤な出血性ショックに対するリポソームカプセル化ヘモグロビン"ネオレッドセル"の効果" 人工血液. 4・3. 69-75 (1996)
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[Publications] 薄場 彰,ほか: "出血性ショックに対するリポソームカプセル化ヘモグロビンの効果" 人工臓器. 26・1. 267-272 (1997)
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[Publications] Akira Usuba: "SHOCK-From molecular and Cellular Level to Whole Body" Elsevier(K Okuda,H Ogata,ets), 398 (1996)
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[Publications] A Usuba: "XXX World Congress of the International College of Surgeons" Monduzzi Editore(O Abe,K Inokucchi,K Takasaki,ets), 865 (1996)