1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457312
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Research Institution | JICHI MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
金澤 曉太郎 自治医科大学, 医学部, 教授 (90111377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝沢 俊広 自治医科大学, 医学部, 講師 (90271220)
細谷 好則 自治医科大学, 医学部, 助手 (30275698)
小林 英司 自治医科大学, 医学部, 助教授 (00245044)
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Keywords | 乳斑 / サイトカイン / 好中球 / 抗腫瘍性反応 / OK-432 / BRM / ケモカイン / 腸内最近 |
Research Abstract |
大網内に非常に多く含まれる漿膜乳斑織織の悪性腫瘍に対する免疫反応に関する研究を行った。BALB/cマウスにBAMC-1腫瘍細胞を移植しOK432、PC-C203U(OK432と同様に溶連菌より生成された免疫賦活剤で、抗腫瘍効果は劣る)および生食(コントルール)を用いた3群間での治療効果を検討した。 検討項目は、1)生存率、2)腹腔内への好中球遊走能、3)腹腔内におけるIL-1β、IL-6、MIP1α産生(ELISA)、4)臓器(大網、脾臓および肝臓)におけるIL-1β、TNF-α、IFN-γ、MCP-1産生(mRNA)、5)漿膜乳斑組織の電顕的形態学的変化、とした。 生存率における治療効果は有意にOK432が優れ、以下PC2-C203U、コントロールの順であった(p<0.05) 2)-4)の検討項目はすべて治療効果とよく相関していた。すなわち、好中球遊走能や腹腔内に産出されたサイトカイン、大網におけるサイトカイン産生はOK432>PC-C203>コントロールであった。OK432治療早期では漿膜乳斑組織の形態学構造が破壊されるほど、好中球で占められていた。 われわれは、好中球がOK432治療効果発現のためのfirst runnerであり、以後マクロファ一ジ、リンパ球と遊走・誘導され腫瘍特異免疫が確立されることを報告してきた。今回の検討より、漿膜乳斑組織におけるサイトカインネットワークが、悪性腫瘍に対する免疫反応に重要な役割を果たしていることが示唆された。 漿膜乳斑組織の免疫担当臓器としてのさらなる機序解明のため、1)大網非切除群と切除群でのOK432の治療効果、2)OK432刺激下での大網の組織培養における免疫担当細胞の解析、3)腸内細菌がおよぼすOK432の治療効果および漿膜乳斑組織機能、の3つの研究が現在、進行中である。
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[Publications] 小林英司 他: "K432により誘導される抗腫瘍効果の分子生物学的解析-PC-C2023Uによるアポトーシス誘導およびサイトカインmRNA発現量の比較検討-" Biotherapy. 12(1). 27-30 (1998)
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[Publications] 細谷好則 他: "Biological Response Modifires(BRMs)による抗腫瘍効果に関する研究-OK432およびPC-C203Uとの比較検討より-" 日本消化器外科学会雑誌. (1998)
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[Publications] 金澤曉太郎 他: "大腸上皮性腫瘍の発生状況ならびに腸内細菌叢よりみた高年齢者下部消化管臨床の特異性" 老年消化器病. 9(2). 109-116 (1997)
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[Publications] 金澤曉太郎 他: "創傷治癒と腸内細菌" Current Concepts in Infectious Diseases. 16(4). 15-17 (1997)