1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457316
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
北山 丈二 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (20251308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 泰彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30272561)
名川 弘一 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (80228064)
菅野 純夫 東京大学, 医科研, 助教授 (60162848)
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Keywords | ワクチン / 腫瘍免疫 / 腫瘍退縮抗原 / 免疫療法 |
Research Abstract |
前年度までにCAG promoterとCE promoterが筋肉内で高い発現を示すことを示した。平成10年度は、マウスメラノーマ抗原H52を発現するベクターを筋肉内に注射することによって、H52を発現するマウス腫瘍細胞株MC1およびB16を拒絶させることができるかどうか検討した。 1. (拒絶実験1) pCAGH52とpCAGGS(ベクターのみ)を1週間ごとに3回、1回あたり100μg筋注した。最終免疫後1週間目にMC1またはB16を100000個同系マウスに皮下注した。2週間目にいずれの群でも腫瘍の増殖が認められた。増殖速度に差は認めなかった。 2. (拒絶実験2) H52の系で免疫反応が認められなかったので、変異型p53の系で同様の実験を行った。pCEp53とpCE321(ベクターのみ)を1週間ごとに3回、1回あたり100μg筋注した。最終免疫後1週間目に変異型p53を発現している腫瘍細胞株Meth-Aを100000個同系マウスに皮下注した。2週間目にいずれの群でも腫瘍の増殖が認められた。増殖速度に差は認めなかった。以上よりDNA筋注による抗腫瘍免疫は治療上不十分であると考えた。 3. (他臓器での発現) 筋肉での抗原蛋白の発現は十分な免疫反応を惹起するには不十分であると考えられたので、他臓器での発現を再検討した。各種の臓器にCAT発現ベクターを注射して2日後に臓器を採取してCAT assayを行ったところ、興味深いことに肝臓と脾臓に強い発現が認められた(報告例なし)。いずれの臓器も貧食細胞が豊富な臓器であり、貧食により取り込まれた発現ベクターがその細胞内で発現した可能性がある。貧食作用のある細胞の中には抗原提示細胞も含まれるので、このことはDNAワクチンの接種部位として筋肉よりも脾臓あるいは肝臓の方が効果的であることを示唆している。現在引き続きDNA脾臓内投与による抗腫瘍免疫を検討している。
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