1996 Fiscal Year Annual Research Report
肺胞上皮細胞イオントランスポートから見た肺細胞保存と移植に関する研究
Project/Area Number |
08457342
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷田 達男 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (20217144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤村 重文 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (40006078)
小野 貞文 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (80250827)
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Keywords | 肺胞II型上皮細胞 / enzymatic tissue digestion法 / difference adherence法 / Na+-K+-ATPase / 無機リン |
Research Abstract |
平成8年度の研究計画は実験環境の整備にある。その主眼は肺胞II型上皮細胞の供給システムの確立と、肺胞II型上皮細胞のイオントランスポート機能の発現に重要なNa+-K+-ATPase活性測定法の確立であった。 1.肺胞II型上皮細胞の供給システムの確立 ラットから肺胞II型上皮細胞を常時分離維持することを可能にするために、我々はenzymatic tissue digestion法による細胞分離と、IgGを用いたdiference adherence法による精製を採用した。その結果、肺胞II型上皮細胞の回収はラット1匹あたり30-50×106個で、精製後の純度は85%以上であることが明らかになった。この精度は諸外国の成績に比べても良好で、肺胞II型上皮細胞の供給システムが高い精度で確立できたと言える。 2.Na+-2+-ATPase活性の測定法の確立 Na+-K+-ATPase活性の測定にはphosphate release assayを採用した。これはNa+-K+-ATPaseがNa+、K+、Mg++の存在下でATPをADPとPi(無機リン)に加水分解する反応速度で表すものである。当初の計画では、今日世界的に広く採用されておいるアイソトープ標識物質(32p)を用いる方法を無機リンのモニタリングとして適用することにしていたが、廃棄物処理の拠点から本邦の抱える環境問題を考慮し、今回我々はNa+-K+-ATPaseによる無機リンの放出を、非放射性手法により特異性の高いキサンチンオキシダーゼ酵素法で検出することを初めて試みた。その成績はラット肺組織から抽出した細胞膜分画で約3micromol Pi/hr/mg protein、肺胞II型上皮細胞ホモジネートでは約2 micromol Pi/hr/mg proteinで、再現性にも優れていることが確認された。またこれらの値はアイソトープ標識物質を用いて測定された報告値と同等で、非放射性手法が本研究の遂行に十分に耐えるものであることが確認された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Fujimura S, et al: "Development of low potassium solution (EP4 solution) for long-term preservation of a lung transplant. Evaluation in primate and murine lung transplant model." Artificial Organs. 20. 1137-1144 (1996)
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[Publications] 鈴木 聡他: "心房性ナトリウム利尿ペプチドによる肺胞上皮II型細胞Na+-K+-ATPaseの活性調節" 日本臨床生理学会雑誌. 26. 185-190 (1996)
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[Publications] 鈴木 聡他: "ラット培養肺胞上皮II型細胞Na+-K+-ATPaseの活性調節における培養時間の影響" 日本胸部疾患学会雑誌. 34. 506-510 (1996)