1996 Fiscal Year Annual Research Report
各種機械的補助循環時の冠循環応答様式と心力学的効果の比較及び相関機序の実験的解明
Project/Area Number |
08457347
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
坂本 徹 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (10101875)
|
Keywords | 機械的補助循環 / 左心力学 / 左室圧容量曲線 / 遠心ポンプ / 大動脈内バルーンパンピング法 |
Research Abstract |
種々の機械的補助循環法において,心力学的計測指標による心室減負荷の定量化と共に冠血流量を測定し,補助循環中の左心機能の推移と冠循環応答様式の分析を行いこれら両因子の不全心回復への影響を検討した.機械的補助循環における不全心の左室圧・容積関係からSuga,Sagawaらの方法を用いて心室の外的仕事量・心収縮能(Emax)・エネルギー効率・酸素消費量などを算出し,同時に左前下行枝冠血流量の変動を計測し次の検討を行った. (1)各種機械的補助法における減負荷(Unloading)効果:遠心ポンプによる左心補助循環では左房脱血で左室ループは左方に平行移動するが左室圧の減少はなく左室脱血では左室ループは脱血量増加につれて左室圧も減少し等容収縮期・拡張期共に容積は変化するため左室ループは三角形となり面積は著減し左室心筋酸素消費量の減少を示した.また,左前下行枝冠血流量は左室ループの変化につれて冠血管抵抗も変動し特に左室脱血では左室圧発生時間は短縮するため冠血流時間は延長し最大値も増加した.したがって左心補助では心力学・冠循環の両面で左室脱血法が効果的であった。 (2)大動脈内バルーンパンピング法では心力学的には左室等容収縮期の中期以降でのバルーン収縮でエネルギー効率・酸素消費量ともに至適値を示し冠循環面ではバルーン収縮による冠血流の逆流は消失した.従来のバルーン駆動法より今回案出した駆動法が最近の駆動装置の力量からみてより効果的な駆動法と実験的に証明できた。
|
-
[Publications] 坂本徹: "Systolic unloading・Diastolic augmentation効果からみた大動脈内バルーンパンピング法の至適駆動の検討" 日本胸部外科学会雑誌. 44. 1544 (1996)
-
[Publications] 坂本徹: "拡張期冠血流量からみた大動脈内バルーンパンピング法のバルーン至適収縮時相の検討" 人工臓器. 25. S-70 (1996)
-
[Publications] 坂本徹: "大動脈バルーン(IAB)の収縮時相の変化によるIABP効果増大とその理論" 循環器科. 41. 207-208 (1997)