1997 Fiscal Year Annual Research Report
胸腹部大動脈瘤手術における臓器血流遮断時間の安全域と至適灌流量に関する研究
Project/Area Number |
08457352
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Research Institution | Second department of surgery, faculty of medicine, University of the Ryukyus. |
Principal Investigator |
古謝 景春 琉球大学, 医学部, 教授 (10101479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 マキヱ 琉球大学, 医学部, 助教授 (80040187)
宮城 和史 琉球大学, 医学部・附属病院, 助手 (00229808)
久高 学 琉球大学, 医学部, 助手 (30295315)
国吉 幸男 琉球大学, 医学部・附属病院, 講師 (50153317)
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Keywords | 選択的臓器灌流 / 胸腹部大動脈瘤 / ATP / 腎虚血 / 無機燐 / 乳酸 / viability |
Research Abstract |
【目的】胸腹部大動脈瘤手術において,腹部分枝血流遮断による臓器障害が問題となることがあり,その予防策として選択的臓器灌流を行っている.しかしその至適灌流条件は明確ではない.腎の至適灌流条件を確立すべく実験を行った.【方法】雑種成犬28頭を使用.腹部正中切開を加え左右の腎臓を露出し,片腎に選択的灌流(SP)を行い,対側腎をコントロール(CR)とした.SP法は,右大腿動脈より脱血しローラーポンプで腎動脈に留置したカニューレに2時間のSPを行った.腎動脈の血流量を電磁流量計で測定し,灌流量により以下の4群に大別.I群:正常腎血流量の10%のSP.II群:25%.III群:50%.IV群:100%.SP後に実験腎とコントロール腎のATP,無機燐,乳酸を計測しviabilityを判定した.さらに2時間の再灌流(RP)後にもviabilityを判定した.組織学的検討も行った.【結果】SP後のATP(μmol/g dry wt)は,I群:1.86±0.55,II群:4.00±0.66,III群:5.25±1.67,IV群:4.74±3.01であり,CRの6.63±0.33と比較してI群とII群で有意に低下したが,RP後にはII群では再上昇した.無機燐はSP後にI群とII群で有意に増加したが,RP後には回復した.乳酸はSP後のI群で有意差をみた.組織学的にはI群では尿細管上皮の高度な浮腫と一部壊死を認め,上皮の脱落が著名であった.II群では細胞の浮腫が目立ち,III群では比較的形態は保たれていた.IV群ではSP時の腎動脈圧が195〜235torrと高く,組織学的にも糸球体に炎症細胞の浸潤が見られた.【結論】エネルギー代謝,組織学的にみて,10%のフローは灌流不足であり,25%は再灌流後に回復した.100%では灌流中の腎動脈圧が高く,組織学的に糸球体の損傷を認めた.50%では腎機能の温存は良好であった.
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 古謝景春: "大動脈瘤に対する拡大再建手術の有用性" 日本心臓血管外科学会誌. 21巻4号. 327-331 (1992)
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[Publications] 古謝景春: "胸腹部大動脈瘤の手術" OPE NURSING. 10巻7号. 31-36 (1995)
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[Publications] 古謝景春: "分節的大動脈遮断による肋間動脈および腰動脈再建法" 脈管学. 36巻12号. 923-925 (1996)
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[Publications] 古謝景春: "胸腹部大動脈瘤と術式の選択" 外科治療. 75巻1号. 1-8 (1996)
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[Publications] 古謝景春: "胸腹部大動脈瘤手術における腎血流遮断時の選択的灌流の至適条件に関する研究" 琉球大学医学部紀要. 77-77 (1996)
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[Publications] 久高 学: "胸腹部大動脈瘤手術における選択的腎灌流の至適条件に関する研究" 脈管学. 37巻9号. 733-733 (1997)
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[Publications] 古謝景春: "胸部外科領域における手術手技の工夫" 日本胸部外科学会関西地方会, 7 (1995)
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[Publications] 古謝景春: "最新胸部外科手術 1995" 日本胸部外科学会卒後教育委員会, 12 (1995)