1996 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子(p53,p16)の導入による悪性脳腫瘍に対する遺伝子療法の研究
Project/Area Number |
08457368
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
古田 知久 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (30181457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 恭裕 岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
国塩 勝三 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (50273983)
田宮 隆 岡山大学, 医学部, 助手 (50252953)
松本 健五 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (10190521)
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Keywords | p16 / p53 / tumor suppressor gene / qlioma cells / adenovitrus vector / gene therapy |
Research Abstract |
我々は脳腫瘍の遺伝子治療を目的として、p53,p16など細胞周期を制御する遺伝子の腫瘍細胞への導入とその抗腫瘍効果を検討している。 今年度に行った研究とその結果は下記の如くである。 1)我々の教室で手術により得られた脳腫瘍組織での癌抑制遺伝子(p53,p16)の異常を検討した。その結果と増殖能との関係を論文として投稿中である。 2)我々が継代している数十種類のグリオーマ培養細胞での癌抑制遺伝子(p53,p16)の異常を検討した結果、大半の腫瘍細胞でp53遺伝子の異常を認めた。 3)p53遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクターを293細胞で増殖させ高濃度のベクターを作成した。 4)そのベクターを用いてp53遺伝子をグリオーマ培養細胞に導入し、p53遺伝子導入が培養細胞の温度感受性に及ぼす影響を検討した結果、p53に変異がみられた細胞に正常p53遺伝子を導入すると腫瘍細胞の温度感受性が明らかに増加することが判明した。 以上の研究結果より、脳腫瘍の発生や増殖に癌抑制遺伝子(p53,P16)が強く関与していることが明らかとなった。また、これらの癌抑制遺伝子を脳腫瘍細胞に導入することにより腫瘍の増殖能を低下させ、温熱療法に対する感受性を増加させ得ることが明らかとなり、癌抑制遺伝子導入による遺伝子治療の有効性が強く示唆された。今後は、他の遺伝子治療および従来の治療法である放射線療法や化学療法との併用効果の検討、ラットおよびマウスの実験的脳腫瘍モデルでの遺伝子導入効率、抗腫瘍効果の検討、等を行い、この遺伝子治療の脳腫瘍への臨床応用をめざして研究を進める予定である。
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