1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457377
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
井田 英雄 山形大学, 医学部, 講師 (40184600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 理彰 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40241707)
須田 昭男 山形大学, 医学部, 助教授 (80045715)
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Keywords | ポリエチレン / オステオライシス / マクロファージ |
Research Abstract |
ヘルシンキ大学Konntinen博士の技術提供協力により、ラット大腿骨骨融解モデルにおける骨融解因子の検索が可能となった。したがって当初のマウスモデルの作成から実験操作の簡便製に優れるラットモデルに変更して、平成8年度は、骨融解モデルの作成を行った。4週齢のウィスターラットを用い、膝関節腔を展開しセメントピンをラット大腿骨髄腔に挿入し閉創した。術後2週、4週、6週、8週目に、膝関節内に30ミクロンの粒径のポリエチレンをラット血清に混ぜて注入し、対側の膝関節にはラット血清を注入した。術後12週で大腿骨および膝関節滑膜組織を摘出し硬組織による大腿骨の病理組織学的検索と膝関節滑膜組織の病理組織学的並びに免疫組織学的検索を行った。 セメントピン挿入大腿骨においては、ポリエチレン注入群、非注入群ともセメントピンと骨組織間に線維性被膜の形成が観察された。しかしポリエチレン非注入群の線維性被膜が平均して10ミクロン以下なのに対して、ポリエチレン注入群では、被膜は10〜100ミクロン以上と厚く、厚い線維性被膜内には細胞性浸潤が観察された。さらに被膜と接する骨組織では線維性肉芽組織と骨吸収像が観察され、この骨吸収組織および線維性被膜には、膝関節腔内に注入したポリエチレン粒子の浸入が観察された。またポリエチレン注入群の膝滑膜組織には、ポリエチレン粒子を取り囲むようにED1(monocyte/macrophage marker)陽性の炎症性細胞が存在し、異物に対する生体反応が観察された。 以上の結果から、ラット骨融解モデルの有用性と合わせて、ポリエチレン粒子により引き起こされる生体反応がインプラント周囲の骨融解に関与していることが明らかとなり、また滑膜組織内の炎症性肉芽種が骨融解を促進する因子を産生する場としての可能性が示唆された。この結果は、平成9年8月、国際整形外科災害外科基礎学会にて発表予定で、現在この骨融解モデルを用いて、研究計画に基づいた骨融解組織並びに滑膜組織の生化学、分子生物学的解析を行っている。
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