1997 Fiscal Year Annual Research Report
In vitro transformationによる骨肉腫発生機序の解明
Project/Area Number |
08457388
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
戸口田 淳也 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助教授 (40273502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 正夫 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (20013857)
中村 孝志 京都大学, 医学研究科, 教授 (10201675)
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Keywords | 骨肉腫 / p53遺伝子 / RB遺伝子 / 形質転換 / Differential Display法 |
Research Abstract |
1.p53遺伝子欠損マウス由来の骨芽細胞様細胞系(MMC2)の樹立 p53遺伝子欠損マウスの新生仔頭蓋冠より骨芽細胞系を樹立した。この細胞は旺盛な増殖能を示す不死化細胞であるが、接触阻止及び足場依存性の増殖を示し癌細胞としての形質は携えていない。一方アルカリフォスファターゼ活性を有し、I型コラーゲン遺伝子及びオステオカルシン遺伝子を恒常的に発現し、in vitroにおいて石灰化巣を形成するなど、骨芽細胞としての分化形質を有していた。 2.MMC2に対するHPV16型E7抗原遺伝子の導入による肉腫細胞の樹立 次にRB遺伝子を機能的に不活化するためにHPV16E7遺伝子を導入後、ヌードマウスに接種し腫瘍を形成したものからin vitro細胞系を樹立した(E7TC)。E7TCではcyclin A及びthymidine kinase遺伝子の発現が細胞周期に同調せず亢進しておりRBの不活化に伴いE2F活性が上昇していることが示唆された。一方分化形質は失われ、形成する腫瘍も未分化肉腫像を示した。 3.MMC2の自然誘発変異による肉腫細胞の樹立 MMC2をヌードマウスに接種し8ヶ月以上経過して初めて腫瘍を形成したものがあり、これから細胞系を樹立した(TC23)。TC23は癌化形質と同時に分化形質を有しており、マウスで形成する腫瘍も典型的な骨肉腫であった。以上よりp53遺伝子欠損骨芽細胞より分化度の異なる2種類の形質転換細胞株を確立することができた。 4.Differential Display法を用いた新規遺伝子の検索 MMC2からE7TC及びTC23に至る癌化過程に伴って変化した遺伝子をDifferential displayを用いて検出した。その結果、E7TCで発現が亢進した新規遺伝子及び発現が消失した新規遺伝子をそれぞれ1種類単離することに成功し、これらの全長cDNAのクローニング及び機能解析を施行中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakayama,Tomitaka: "Fracture nealing is a process independent from p53 function." In vivo. 10. 553-558 (1996)
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[Publications] Nakayama,Tomitaka: "Establishment of osteoblast-like cell line,MMC2,from p53 deficient mice." Bone. 21. 313-319 (1997)
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[Publications] Yamaguchi,Toshikazu.: "Loss of heterozygosity and tumor suppressor gene mutations in chondrosarcomas." Anticancer Research. 16. 2009-2016 (1996)
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[Publications] Kato,Mitsuo V.: "Loss of heterozygosity on chromosome 17 and mutation of the p53 gene in retinoblastoma." Cancer Letters. 106. 75-82 (1996)
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[Publications] 戸田口 淳也: "骨肉腫の増殖における癌抑制遺伝子変異の意義" 臨床整形外科. 32. 7-15 (1997)
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[Publications] 戸田口 淳也: "軟部肉腫と癌遺伝子" 病理と臨床. 16. 126-134 (1998)