1997 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋の虚血再潅流障害および切断肢保存に関する実験的研究-EPC-K1の有効性について-
Project/Area Number |
08457393
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高木 克公 熊本大学, 医学部, 教授 (70040219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井手 淳二 熊本大学, 医学部, 助手 (10253725)
山鹿 眞紀夫 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (90145318)
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Keywords | 複合組織移植 / 骨格筋 / 虚血再灌流障害 / EPC-K1 |
Research Abstract |
【目的】ラット後肢の複合組織多植モデルにおいてEPC-K1を組織保存液として用いた場合に、EPC-K1が骨格筋の虚血再灌流障害に対して有効であるか否かを検討する。 【方法】体重250〜300gのLewis系雄ラットの後肢を大腿中央部で切断し、直ちに4℃の保存液に浸漬した。9時間冷保存後、ヘパリン生理食塩水で灌流(120cmH_2O)し、同系ラットへ移植した。保存液にEuro-Collins(EC)液を用いた対象群、EC液にEPC-K1(10mg/kg)を加えたEPC保存群、さらにEPC保存群で灌流液にEPC-K1(10mg/l)を加えたEPC灌流群の3群を作製した。移植24時間後に、以下の検討を行った。筋のviabilityの指標として腓腹筋のATP、フリーラジカル発生の間接的指標とした過酸化脂質量(LPO)浮腫の指標として腓腹筋の湿乾燥重量比、筋障害の指標として血清酵素(CPK・LDH・GOT-m)を測定した。また腓腹筋の組織学的研究も行った。 【結果】筋ATP、筋LPO、筋乾湿重量比はEPC灌流群、EPC保存群、対象群の順に高値を呈するものの各群間で有意差なかった。血清酵素はLDHが対象群1829±376IU/dl、EPC保存群1675±2181IU/dl、EPC潅流群792±563U/dlとEPC灌流群が対象群およびEPC保存群に対して有意に低値を呈した。他のCPK・GOTmも同様な傾向があるものの各群間で有意差なかった。組織学的には各群ともに筋線維腫脹と筋線維間離解が軽度認められた。 【考察】今回の結果でEPC灌流群が他の2群より移植筋の障害が抑制された傾向にあったが、有意差を認めたのはLDHのみだった。EPC-K1を保存液に用いるよりも灌流液に用いた方が有効性があるようだが、組織学的に対象群でも筋障害が軽度であることから、今後、保存時間を延長して更なる調査が必要である。
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