1997 Fiscal Year Annual Research Report
新しい完全静脈麻酔法の全自動化に関する臨床薬動力学的研究
Project/Area Number |
08457398
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Research Institution | HIROSAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松木 明知 弘前大学, 医学部, 教授 (20003543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 剛 弘前大学, 医学部, 助手 (70003407)
村岡 正敏 弘前大学, 医学部・附属病院, 助手 (90240647)
橋本 浩 弘前大学, 医学部・附属病院, 助手 (00218421)
石原 弘規 弘前大学, 医学部, 助教授 (50111224)
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Keywords | 全静脈麻酔 / 双スペクトラル解析脳波 / 麻酔薬自動注入法 / プロポフォール / 気管内挿管 / 麻酔深度 |
Research Abstract |
新しい薬動力学の指標として双スペクトラル解析脳波(BIS)を用いて、全自動化の基礎データを集積しえた。麻酔導入および麻酔維持、覚醒の各臨床時点におけるBIS値と麻酔薬血中濃度を比較して、至適麻酔深度におけるBIS値と麻酔薬血中濃度との関係を明らかにした。プロポフォール、フェンタニール麻酔導入において麻酔導入における意識消失は、BIS値65でプロポフォール血中濃度は7.2mcg/m1であり、睫毛反射消失は、BIS値61でプロポフォール血中濃度は7.8mcg/mlであった。麻酔維持は、BIS値50-60であり、プロポフォール血中濃度は3-3.5mcg/mlであった。覚醒時、意識回復はBIS値76、プロポフォール血中濃度2.5mcg/mlであり、睫毛反射回復はBIS値76.5、プロポフォール血中濃度2.5mcg/mlであった。見当識が完全に回復するには、BIS値85.4で、プロポフォール血中濃度が1.8mcg/mlまでの低下が必要であることが判明した。 成人患者ばかりでなく、小児に対する検討も行い、小児では適切な麻酔維持にはプロポフォール血中濃度が2.5-3mcg/ml必要であることが判明した。 手術麻酔侵襲に対する検討では、気管内挿管時の侵襲を取り上げ、気管内挿管前後で有意な循環動態の変化があるにもかかわらず、BIS値の変化は45から51で、有意な変化は観察されず、循環動態の変化のみでは適切な麻酔深度の把握は不可能であることを証明した。 BISを基礎とした全自動システムの実現に必要なデータを集積し終え、これらの基礎データをデータベースとしてコンピュータへの取り込みとソフト開発に着手する予定である。
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[Publications] 坂井哲博: "全静脈麻酔のcomponentとしてのケタミンの役割" Pharmacoanesthesiology. 10・1. 110-112 (1997)
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[Publications] 坂井哲博: "プロポフォール、フェンタニール、ケタミンを用いた全静脈麻酔の有用性の検討" Pharmacoanesthesiology. 10・1. 124-126 (1997)
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[Publications] 坂井哲博: "小児に対するプロポフォール、フェンタニル、ケタミンを用いた全静脈麻酔の薬物動態学的検討" 麻酔. 47・3. 277-280 (1998)
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[Publications] 坂井哲博: "プロポフォール、フェンタニル、ケタミンを用いた全静脈麻酔を行い、麻酔薬の薬物動態を追跡できた乳児症例" 麻酔. 47・3. 314-317 (1998)
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[Publications] WD Mi: "Haemodynamic and electroencephalograph responses to intubation during induction with propofol or propofol/fentanyl" Can Anaesth. 45・1. 19-22 (1998)
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[Publications] 松本明知: "プロポフォールを中心とする全静脈麻酔の臨床" 克誠堂出版, 211 (1997)