1996 Fiscal Year Annual Research Report
キセノンの中枢神経作用に関する神経生理学的及び神経化学的研究
Project/Area Number |
08457406
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村川 雅洋 京都大学, 医学研究科, 講師 (90182112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 健彦 京都大学, 医学研究科, 助手 (90252428)
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Keywords | キセノン / 笑気 / 脊髄後角 / 広作動域ニューロン |
Research Abstract |
本年度はキセノンがネコ脊髄後角ニューロンの機械的刺激による反応に及ぼす影響を検討し、笑気と比較した。成ネコ11匹を用いてウレタン・クロラロース麻酔下に腰椎椎弓切除術を行い、脊髄表面を露出させた。3mMKClを充填したガラス電極を刺入し、単一ニューロンの細胞外記録を行った。ニューロンは後肢に触刺激を加えつつ、オシロスコープの観察及びスピーカーからの反応音によって電極刺入の深さを決定し、記録した。記録されたニューロンにプラシによる触刺激、有鉤ピンセットで皮膚をつまむピンチ刺激及び熱刺激を加えることによってその性質を決定した。すなわちこれら全ての刺激に反応し、且つ反応の大きさが刺激強度に応じて増大するものを広作動域(WDR)ニューロンとみなした。WDRニューロンであると判定されたもの11個につき以下の検討を行った。100%酸素を吸入させ、ピンチ刺激(10秒間)に対する反応を5分おきに記録した。その後70%Xeまたは70%笑気を20分間吸入させた後やはり5分おきにピンチ刺激に対する反応を記録した。反応が吸入前と比較して20%以上減少したものを抑制ありと判断した。11個のWDRニューロンの内、Xe及び笑気の両者によって抑制されたものは6、笑気のみ有効が2、Xeのみ有効が1、両者とも無効が2であった。両者によって抑制された6個のニューロンにおいてその抑制の程度にはXeと笑気の間に有意差は認められなかった。従来Xeの麻酔効力は笑気よりも強いとされてきたが、本年度の研究では脊髄後角ニューロンの侵害刺激に対する抑制効果に関してはXeと笑気の間で差は認められず、Xeと笑気の間の麻酔効力の差はより上位の中枢に対する効果の差に起因している可能性が示唆された。来年度は脳波、中脳網様体多ニューロン活動、体性感覚誘発電位等を指標としてより上位中枢に対するXeの作用を検討し、笑気と比較する予定である。
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Research Products
(1 results)