1997 Fiscal Year Annual Research Report
キセノンの中枢神経作用に関する神経生理学的及び神経化学的研究
Project/Area Number |
08457406
|
Research Institution | Fukushima Medical College |
Principal Investigator |
村川 雅洋 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90182112)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 健彦 京都大学, 医学研究科, 講師 (90252428)
|
Keywords | キセノン / 亜酸化窒素 / 脳波 / 中脳網様体多要素電気活動 / 体性感覚誘発電位 |
Research Abstract |
本年度はキセノン(Xe)が脳波、中脳網様体多要素電気活動(Reticular Multi-Unit Activity:R-MUA)、体性感覚誘発電位(SEP)に及ぼす影響を検討し、亜酸化窒素(N2O)と比較した。成ネコ9匹を用いて、ペントバルビタール麻酔下に脳波、R-MUA、およびSEPを記録するための電極を植え込んだ。電極植え込みから4週間以上あとに、2%または5%のセボフルラン麻酔、筋弛緩薬投与下に実験を行った。基礎のセボフルラン麻酔(100%酸素)の脳波およびR-MUAを20分間記録した後、100%酸素から70%Xeまたは70%N2Oと30%酸素に変えて120分間の脳波およびR-MUAを記録した。その後再び100%酸素として、脳波およびR-MUAが回復したことを確認した。大脳皮質の脳波は、2%セボフルラン麻酔下では、Xe吸入により律動性徐波を示し、Xe吸入30〜60分後には高振幅鋭波の群発と低振幅徐波が混在するようになった。N2O吸入では低振幅化した。5%セボフルラン麻酔下では、XeもN2Oも高振幅棘波の発生頻度を増加させた。R-MUAは、2%セボフルラン麻酔下で、Xeによって最初にやや増加し、後に減少する傾向を示した。5%セボフルラン麻酔下では、Xeによって常に増加した。一方、N2Oは2%セボフルラン麻酔下でも5%セボフルラン麻酔下でもR-MUAを常に増加させた。2%セボフルラン麻酔下でネコ前肢の撓骨神経を電気刺激し、大脳皮質感覚運動野からSEPを記録した。XeはN2Oより強くSEPの振幅を抑制した。XeはSEPの潜時を延長させたが、N2Oは変化させなかった。以上の結果より、XeはN2Oと同様に脳の背景電気活動に関しては興奮性の作用を有するが、感覚刺激に対する脳の反応性に対しては抑制性の作用を有し、その抑制作用はN2Oより強力であることが明らかとなった。
|
Research Products
(1 results)