1998 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄神経可塑性におけるプロスタグランディンとNOの役割について
Project/Area Number |
08457408
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
斉藤 洋司 島根医科大学, 医学部, 助教授 (50162243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐原 由美子 島根医科大学, 医学部, 教務職員 (90234400)
内田 博 島根医科大学, 医学部, 講師 (70176692)
山森 祐治 島根医科大学, 医学部, 講師 (80230598)
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Keywords | プロスタグランディン / nitric oxide / 知覚過敏 / 脊髄 |
Research Abstract |
雄ラットを対象とし、ハロセン麻酔下に下部腰椎間より、くも膜下腔カテーテルを留置した。カテーテルからプロスタグランディン(PG)F_<2α>100ngまたは生食を投与し、侵害刺激および非侵害刺激に対する反応を180分間、さらに非侵害刺激に対する反応は7日間測定した。侵害刺激としてはtail flick(TF)試験、colorectal distension(CD)試験を用いた。非侵害刺激に対する反応はSemmes-Weinstein monofilament(SWM;0.217g-2.35g)を用いた触刺激を行い、ラットの逃避反応を調べスコア化した。PGF_<2α>のくも膜下腔投与後または投与前に、NO合成酵素(NOS)阻害薬であるNG monomethyl-L-arginine(L-NMMA)100・1000μgの投与を行い、その影響を観察した。一部のラットではPGF_<2α>投与後180分にラットをホルマリン潅流固定後に、免疫組織染色法によりNOS陽性細胞数を検討した。 PGF_<2α>100ngのくも膜下腔投与後、TFおよびCD閾値は20%低下し、L-NMMA300μgの後投与によってリバースされた。PGF_<2α>投与によりSWM刺激に対する逃避スコアは刺激強度依存性に増加した。逃避スコアの増加はL-NMMA100μgの後投与に約50%、300μg以上ではほぼ100%に60分間抑制され、その後再び増加した。前投与ではL-NMMA100μgにおいて80%以上の抑制率を示し、1000μgでは7日間増加がみられなかった。脊髄のNOS陽性細胞数はPGF_<2α>群でIII、V層を主体に増加し、陽性細胞総数は46±3.9(mean±SD)であり生食群の36±3.7に比較して有意に多かった。 本研究の結果から、PGF_<2α>による持続性知覚過敏の誘発、維持に脊髄でのNO系の活性化が関与することが示唆された。
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