1997 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱腫瘍予後規定因子としてのp53とその修飾因子の究明
Project/Area Number |
08457431
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
秋元 成太 日本医科大学, 医学部, 教授 (50089752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 幸尋 日本医科大学, 医学部, 講師 (80215467)
堀内 和孝 日本医科大学, 医学部, 講師 (00173625)
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Keywords | 膀胱腫瘍 / p53 / メタロチオネイン / アポトーシス |
Research Abstract |
昨年p53欠損マウスに対し、BBNを経口投与することにより膀胱腫瘍の発生頻度の検討を試みたが、膀胱腫瘍発生にはBBN経口投与12週間および以後12週間の観察期間を要するために実験途中で他因死が大量に発生しp53枯渇化膀胱腫瘍の樹立には到らなかった。そこで本年p53ヘテロ欠損マウスを用いて実験する予定であったがコントロールマウスが得られず現在発注中である。 p53修飾因子として我々は抗酸化作用をもつ重金属結合蛋白質であるメタロチオネイン(MT)欠損マウスの14日齡胎芽細胞を培養し、p53の発現およびアポトーシスの誘導に関して検討した。MT枯渇化細胞は、コントロール細胞に比してタ-シャルブチルペルオキシドや各種抗癌剤に対して高率にアポトーシス細胞を認めた。さらに断片化DNAを蛍光吸光度計を用いて検討したところ、MT枯渇化細胞はより多くの断片化DNAを認めた。その断片化DNAは高分子DNAにおいてもMT枯渇化細胞が、コントロール細胞に比して高い値を示した。腫瘍抑制蛋白であるp53とデスファクター蛋白であるBaxは、MT枯渇化細胞ではコントロール細胞に比して高い値を示した。DNA障害性薬剤であるシスプラチン処理後、MT枯渇化細胞およびコントロール細胞ともにp53は誘導されたが、MT枯渇化細胞は常に高いレベルであった。 以上の結果よりストレス応答因子としてのMTは、p53の変動をきたしアポトーシスを制御している可能性が示唆された。そこで現在MT欠損マウスにBBN経口投与し、膀胱腫瘍発生およびp53の検討中である。
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