1996 Fiscal Year Annual Research Report
連鎖解析による上皮性卵巣がん関連遺伝子領域の特定と構造決定
Project/Area Number |
08457437
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田中 憲一 新潟大学, 医学部, 教授 (10126427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 陽一 新潟大学, 医学部付属病院, 助手 (40231774)
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Keywords | 卵巣がん / 連鎮解析 / BRCA1 |
Research Abstract |
本年度の主な研究成果は以下の通りである。 1)20家系64名についてBRCA1の全翻訳領域の解析を行った(卵巣癌41名、乳癌5名、健常者18名)。乳癌患者を含む家系7家系中5家系(卵巣癌患者15名中10名、乳癌患者5名中3名、健常者6名中0名)と乳癌患者を含まない家系13家系中3家系(卵巣癌患者26名中7名、健常者12名中0名)にGermline mutationを認め、これらは7家系においてprotein truncation,1家系においてzinc finger motifの構造に影響すると考えられるものであった。 2)BRCA1に異常が確認された8家系で同意の得られた健常者63名についてmutationの有無を解析したところ、17名にmutationが確認された。BRCA1に関し遺伝子診断の有用性について検討するため、当施設倫理委員会の許可のもと家系内の健康女性(mutationの有無に関わらず)の追跡調査をインフォームドコンセントにて同意のもとで行っている。 3)19症例の孤発例卵巣癌患者で、血液と腫瘍組織のBRCA1を検索。2例においてsomatic mutation(2073delA,4498G to A)と同時にヘテロ接合性の消失を認め、BRCA1の不活化が疾患発症に関与していることが示唆された。 BRCA1異常が無い家系を対象として原因遺伝子の検索を行っている。non-parametric linkage analysis(sib-pair method)を用いて6家系について9q34領域から解析を始めた。マーカーD9S60-D9S61周辺でLOD scoreは1.0と有意ではなかったが,患者間で対立遺伝子を共有する割合が0.055(共有しない)、0.109(一つだけ共有)、0.836(二つとも共有)と疾患発症に関連した遺伝子の存在が推測される結果が得られた。 この解析法は姉妹に2人以上の患者が存在すれば解析できる利点を有するが、多くの家系を用いた追試と他の染色体領域の解析を行っていく必要がある。
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[Publications] Takano,M: "Mutational analysis of BRCA1 gene in ovarian and breast-ovarian cancer families in Japan." Japanese Journal of Cancer Research. 88(4). in press (1997)
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[Publications] 高野政志: "家族性上皮性卵巣癌の遺伝子診断" 癌と化学療法. 24. 439-442 (1997)