1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457439
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
小林 隆夫 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (20107808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉村 基 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (30273189)
西口 富三 浜松医科大学, 医学部, 助手 (30198452)
住本 和博 浜松医科大学, 医学部, 助手 (30126817)
金山 尚裕 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (70204550)
寺尾 俊彦 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60022852)
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Keywords | 妊娠中毒症 / Angiospastic syndrome / 腹部交感神経節 / 左腎静脈 / 交感神経 / カテコラミン / トロンビン / ATIII(アンチトロビンIII) |
Research Abstract |
1)前年度に引き続き多数の症例を解析し、MRA検査により血管攣縮をより明確にした。その結果、妊娠中毒症の血管攣縮の病態を“Angiospastic syndrome of pregnancy"と呼ぶことを提唱した。このうち脳動脈タイプが子癇、肝動脈タイプがHELLP症候群、腎動脈タイプがPIH(ptrgnancy induced hypertension)と考えられる。 2)妊娠中毒症の発生と大動脈および左腎静脈の関係を検索した。その結果、妊娠中毒症患者では、大動脈の拡張・蛇行・正中偏位および左腎静脈や左卵巣静脈の拡張などがみられた。これは妊娠中毒症の病態形成に腹部交感神経節や左腎静脈と周囲の血管との解剖学的関係が関与していることが示唆された。 3)ラットの腹腔神経節刺激により、HELLP症候群や溶血性尿毒症症候群発症モデルを作製した。この結果、LPSまたは大腸菌O157のベロ毒素注入により腹腔神経節を刺激すると、血圧低下、蛋白尿、血尿、血便、血小板減少、溶血性貧血など腎障害、消化肝障害、DIC所見がみられることが判明した。 4)培養細胞を用い、交感神経活性化に及ぼすトロンビンの役割を明確にした。まず、ニワトリ胚の交感神経培養細胞に妊娠中毒症患者血清を添加し培養すると、正常妊婦血清添加群に比し、有意に培養上清中のカテコラミン量が増加した。この原因がトロンビンにあると考え、次に、ラット褐色細胞腫培養株やウシ副腎髄質培養細胞にトロンビンを添加すると、培養上清中のカテコラミン量が増加したり、律動的に分泌が起こった。これはトロンビンが交感神経を刺激し、カテコラミン分泌を促進し、血圧上昇の一因となることを証明したものである。 5)重症妊娠中毒症に対するATIII療法の有用性を明らかにした。重症妊娠中毒症症例に対しATIII3,000倍を7日間静注することにより、血圧低下など臨床症状や血液凝固所見の改善がみられ、かつ胎児発育も促進され、非投与群に比し有意に妊娠期間の延長がみられた。これは過剰のトロンビンをATIIIが不活化し、妊娠中毒症病態を改善したものと考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tokunaga N,Kobayashi T: "Imaging analysis of the maternal great vessels in early-onset preeclampsia." 29th International congress on the Pathophysiology of Pregnancy. (1997)
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[Publications] Kanayama N,Kobayashi T: "Preeclampsia like syndrome produced by local cold stimulation in rats." Recent Advances on the Pathophysiology of Pregnancy. 87-92 (1997)
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[Publications] Terao T,Kobayashi T: "AT-III concentrate therapy in severe preeclampsia." Recent Advances on the Pathophysiology of Pregnancy. 239-247 (1997)
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[Publications] Khatun S,Kobayashi T: "Insreased concentrations of plasma epinephrine and norepinephrine in patients with Eclampsia." Europ J Obstet Gynecol Repro Biol. 74. 103-109 (1997)
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[Publications] Kanayama N,Terao T: "Hypolumbarlordosis: a predisposing factor for preeclampsia." Europ J Obstet Gynecol Repro Biol. 75. 115-121 (1997)
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[Publications] Belayet H,Kobayashi T: "Decreased renal and hepatic blood flow with preeslampsia-like histologic changes was obtained by stimulation of the celiac ganglion with LPS." Am J Perinatol. 15. 109-114 (1998)