1996 Fiscal Year Annual Research Report
EBウイルス転写調節因子Z蛋白に対する抗体価測定法の開発とその意義に関する研究
Project/Area Number |
08457450
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
古川 仭 金沢大学, 医学部, 教授 (40092803)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 元 金沢大学, 付属病院, 助手 (40272976)
吉崎 智一 金沢大学, 付属病院, 助手 (70262582)
|
Keywords | 上咽頭癌 / EBウイルス / Z蛋白 / 抗Z蛋白抗体価 |
Research Abstract |
EBウイルス(EBV)は上咽頭癌(NPC),とりわけ未分化型NPC(undifferentiated-NPC:UNPC)に単クローン性に存在し、発癌に密接に関与したウイルスとされている。ところで、EBVは他のヘルペス群ウイルスと同様、生体内では潜伏感染の様式をとるが、再活性化によりウイルス粒子を産生する。このウイルス転写活性化に必要な蛋白はEBVのBZLF1遺伝子により発現されるZ蛋白である。そこで今回は、Z蛋白発現がもたらすNPC病態像への影響を考察することを目的として、抗Z蛋白抗体価の測定を計画した。第一ステップとして、遺伝子工学手法で純粋なZ蛋白を大量に人工的に合成することに成功した。すなわち、Z蛋白発現遺伝子すなわちBZLF1遺伝子をベクタープラスミド(p GENT2)に組み込み、大腸菌に取り込ませ、IUdRにてインダクションをかけて生成し、さらにその精製を行った。それは、約1Lの培養から細菌を回収し、氷中でsonicatorで破砕後、通常の手順で蛋白を分離抽出し、それをglutathion S-transferase(GST)カラムにて精製した。そこで第二段階として、現在これを抗原としたときの抗Z蛋白抗体測定に関する方法を確率するために、試験的にNPC患者血清中の抗体価を測定中である。実際的には1.ポリスチレン製96穴平底マイクロプレート(担体)を用いてZ蛋白(抗原)を固相化した。次いで2.精製したZ蛋白をメンブレンに吸着させ、streptoabithin HRP法にて抗Z蛋白抗体を発色させた。発色の数値化はイメージスキャナーにてパーソナルコンピューターに取り込みデジタル化を試みている。今後第三段階として、新しく開発したこの方法を用いて、NPC患者血清中の抗体価を広く測定し、その臨床的意義づけを血清疫学的に考察する予定である。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 古川仭他: "上咽頭癌におけるEBV遺伝子発現と抗EBV抗体価の関係について" 臨床病理. 44(9). 832-833 (1996)
-
[Publications] 古川仭他: "特集EBウイルスとヒトがん。上咽頭癌におけるEBウイルスの検索" 日本臨床. 55(2). 76-79 (1997)
-
[Publications] 竹下元他: "上咽頭癌の早期発見と治療" JOHNS. 13(4)(予定). (1997)
-
[Publications] M.Furukawa et al: "Gann Monograph on Cancer Research 45" Japan Scientific Societies Press,Tokyo.(予定)(分担), (1997)
-
[Publications] 竹下元他: "耳鼻咽喉科診療Q&A" 六法出版社(予定)(分担), (1997)