1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457452
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
柳原 尚明 愛媛大学, 医学部, 教授 (40025581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽藤 直人 愛媛大学, 医学部・付属病院, 助手 (60284410)
村上 信吾 愛媛大学, 医学部・付属病院, 講師 (80157750)
湯本 英二 愛媛大学, 医学部・付属病院, 講師 (40116992)
暁 清文 愛媛大学, 医学部, 助教授 (00108383)
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Keywords | 顔面神経麻痺 / ベル麻痺 / 単純ヘルペスウイルス / マウス / PCR / Zoster sine herpete / 脱髄 / 免疫応答 |
Research Abstract |
1.<臨床的研究>ベル麻痺、Ramasay Hunt症候群、及びzoster sine herpete (ZSH)の患者の涙、リンパ球、耳介の組織液からpolymerase chain reaction (PCR)を用い、帯状疱疹ウイルス(VZV)、ヒト単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)のDNAの有無を検討した。ベル麻痺患者およびコントロールの涙からはVZVは検出されず、Hunt症候群、ZSHの患者の涙、耳介組織液からは高率にVZVが検出された。HSV-1の検出はそれぞれにあまり差が認められなかった。この結果、早期にはベル麻痺と診断されていた急性末梢性顔面神経麻痺の中にVZV感染によるものが存在することを明らかにし、これらの症例の早期診断の可能性を示唆した。 2.<基礎的研究>我々はBalb/cマウスを用いて、耳介にHSV-1を接触することにより一側性一過性の顔面神経麻痺を発症させ、ベル麻痺のモデル動物として報告してきた。本年度はこのモデル動物に対し、麻痺発症への免疫の関与、麻痺発症の病態を知るために組織学的および電気生理学的に検討した。組織学的検討から麻痺の発症したマウスにおいて脳幹部を含む顔面神経に高度の脱髄病変が認められた。また、電気生理学的検討からは三又神経-顔面神経反射では麻痺側の反射波に潜時の遅れが認められたが、誘発筋電図ではconduction blockの状態であった。以上のことよりHSV-1による顔面神経麻痺は脱髄により発症していることが明らかとなった。免疫移入実験の結果、この脱髄は自己破壊的な免疫応答ではなく、HSV-1による顔面神経の直接障害により生じていることが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 羽藤直人: "単純ヘルペスウイルスによる顔面神経麻痺マウスにおける動態と免疫的背景" 日本耳鼻咽喉科学会会報. 99. 544-551 (1996)
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[Publications] 羽藤直人: "HSV-1再活性化による顔面神経麻痺モデルの作製" Facial Nerve Research. 16. 73-76 (1996)
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[Publications] 本多伸光: "HSV-1初感染による顔面神経麻痺モデルの麻痺発症機序に関する研究" Facial Nerve Research. 16. 69-72 (1996)
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[Publications] 本多伸光: "Ramsay-Hunt症候群に対するAcyclovir-Predonisone療法の検討" Facial Nerve Research. 16. 179-182 (1996)
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[Publications] 村上信五: "Ramsay-Hunt症候群の臨床像と予後に関する検討" 日本耳鼻咽喉科学会会報. 99. 1772-1779 (1996)
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[Publications] 村上信五: "PCRによる水痘-帯状疱疹ウイルス感染の早期診断の試み" Facial Nerve Research. 16. 77-80 (1996)