1996 Fiscal Year Annual Research Report
内耳奇形マウスの遺伝子解析によるヒト感音難聴の病態解明
Project/Area Number |
08457455
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
喜多村 健 自治医科大学, 医学部, 教授 (90010470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 孝 自治医科大学, 医学部, 講師 (10151375)
栫 博幸 自治医科大学, 医学部, 講師 (40201412)
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Keywords | 実験動物 / 内耳奇形 / マウス / 遺伝子性難聴 / 行動異常 / 蝸牛変性 |
Research Abstract |
ヒト感音難聴の病態解明のために,本年度は内耳奇形を有すると想定される実験動物としてWriggle Mouse Sagami(WMS)マウスの内耳形態を観察した。WMSマウスはBALB/c近交系マウスより自然発生した突然変異である。遺伝形式は常染色体劣性であり、ヘテロ接合体は正常と見分けがつかず、ホモ接合体のみ行動異常を呈す。ホモ接合体は出生直後は正常だが、生後約2週間で、振戦、首振り運動、回旋運動等の行動異常が見られるようになる。下肢、尾は伸展し、上肢は屈曲する傾向を示し、素早い行動はできず、のたうち、捻転しつつ体全体を使ってにじり進む。安静時は腹臥位をとらずに仰臥位、側臥位をとる傾向にある。WMSは今まで、その行動異常の原因究明のため、主に中枢神経系が検索されてきたが、明らかな異常は認められていなかった 各月齢のWMSをネンブタールにて深麻酔し、断頭直後に内耳骨包を摘出した。グルタールアルデヒドによる固定後、光学顕微鏡用標本を脱灰、エポン包理を経て作成し、走査電子顕微鏡用標本をCO_2による臨界点乾燥にて作成した。対照としてBALB/cを用い、同様の標本を作製した。走査電子顕微鏡は、日立製S-4100を使用した。 生後2週間、1カ月の蝸牛中回転のコルチ器は、内外有毛細胞の配列、感覚毛の形態ともに正常であった。しかし、生後3カ月の蝸牛中回転におけるコルチ器では、感覚毛が脱落したり、形態異常が認められた。また、散在性に外有毛細胞が欠落していた。内有毛細胞は比較的保たれていた。蝸牛基底回転において、ラセン神経節細胞の減少をみた。これは対照としたBALB/cの同月齢、同部位と比較して明らかであった。 生後1年の蝸牛では、全回転においてほぼ全ての有毛細胞が欠落し,ラセン神経節細胞の減少はより著明となり、蝸牛神経線維数も高度に減少していた。 以上より,このマウスは内耳奇形動物の実験動物になりうると判断された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tamagawa Y.: "A gene for a dominant form of non-syndromic sensorineural deafness (DFNA11) maps within the region containing the DFNB2 recessive deafness gene" Human Molecular Genetics. 5. 849-852 (1996)
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[Publications] Tamagawa Y.: "Mitochondrial DNA mutation at nucleotide 1555 in a patient with bilateral sensorineural hearing loss of unknown etiology" Acta Otolaryngologica (Stockolm). 116. 796-798 (1996)
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[Publications] 玉川 雄也: "感音難聴の分子遺伝学-ミトコンドリア遺伝子変異を中心に-" Otology Japan. 6. 91-95 (1996)
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[Publications] 玉川 雄也: "ミトコンドリア遺伝子異常と感音難聴" 日本耳鼻咽喉科学会専門医通信. 48. 14-15 (1996)
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[Publications] 玉川 雄也: "感音難聴の分子遺伝学的解析-非症候群性難聴へのアプローチ" 医学のあゆみ. 179. 454-455 (1996)