1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457460
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
吉村 長久 信州大学, 医学部, 教授 (70211662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片井 直達 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (10260572)
二階堂 敏雄 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (50180568)
甘利 富士夫 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (30260574)
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Keywords | ラット / 網膜 / 虚血再灌流 / 神経細胞死 / 細胞周期 / 遺伝子 / アポトーシス |
Research Abstract |
ラット視神経結紮法あるいは高眼圧負荷により網膜に虚血再灌流障害を作成し、経時的に眼球を摘出、光学顕微鏡標本を作成するとともに神経網膜よりnRNAを調整した。光学顕微鏡標本を材料にTUNEL染色、c-jum遺伝子産物、細胞周期関連遺伝子産物の発現を検討した。また、神経網膜より調整したmRNAよりcDNAを作成しPCR法によってc-jun mRNA、細胞周期関連遺伝子の発現を定量的に解析した。これらの実験の結果以下の事実が明らかとなった。 1)ラット網膜虚血再灌流障害では、経時的にTUNEL染色陽性細胞が出現する。 2)この細胞は、まず神経節細胞層に現れ、内顆粒層さらには外顆粒属の順で陽性細胞の出現が認められる。 3)TUNEL陽性細胞発現の時間経過とc-jun遺伝子産物、細胞周期関連遺伝子であるcyclin D1の発現時間経過は非常に近似した経過を示す。 4)死細胞のマーカーであるPI染色とc-jun,cylin D1の2重染色では死細胞にこれらの遺伝子発現が認められる。 5)定量的PCR法によっても、c-jun遺伝子、cyclin D1遺伝子の発現が死細胞の出現時期と非常によく合致した上昇を認める。 以上の結果より、網膜虚血再灌流障害においては、細胞周期遺伝子の異常発現が神経細胞におこり、この結果、網膜神経細胞死が発生することが強く示唆された。
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