1997 Fiscal Year Annual Research Report
房水流出路プロテオグリカンの発現制御による緑内障遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
08457464
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
谷原 秀信 京都大学, 医学研究科, 講師 (60217148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小椋 祐一郎 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (70191963)
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Keywords | プロテオグリカン / デコリン / ルミカン / フィブロモデュリン / 線維柱帯細胞 / TGF-β2 / 遺伝子導入 / HVJリポソーム |
Research Abstract |
我々は緑内障眼において異常に上昇している房水中TGF-β2が、隅角線維柱帯細胞に作用し、線維柱帯細胞のプロテオグリカン(PG)の産生上昇をもたらし、緑内障眼の隅角房水流出抵抗を上昇させるという原発開放隅角緑内障の発症メカニズム仮説を検証した。 まずヒト及びウシの線維柱帯細胞を培養し、RT-PCR法にて線維柱帯細胞の産生するPGを同定した。この実験で、デコリン、ルミカン、フィブロモデュリンという三種類のPGの遺伝子発現が見られた。 次に線維柱帯細胞に生理活性因子であるTGF-β2を加えて培養し、これら3種のPGの遺伝子発現量の変化を解析した。線維柱帯細胞においてデコリン、ルミカン、フィブロモデュリンがTGF-β2刺激によって発現が上昇した。 また、ヒトの様々な病型の緑内障眼と白内障眼から房水標本を採取し、ELISA法にて房水中のTGF-β2濃度を測定した。房水中のTGF-β2濃度はPOAG眼において白内障眼より高かった。また、偽落屑症候群眼ではPOAG眼よりも房水中TGF-β2濃度が低く、緑内障の病型によって房水中TGF-β2濃度が異なることがわかった。 さらに線維柱帯細胞にTGF-β2発現遺伝子を遺伝子導入させ、オートクリン、パラクリン的に線維柱帯細胞のPG産生を上昇させることにより、実験的開放隅角緑内障モデル眼作成を試みた。培養線維柱帯細胞及びサル眼の隅角における線維柱帯細胞にHVJリポソームを用い遺伝子導入を行い、効率よく遺伝子を導入できた。これらの結果は、遺伝子導入によって線維柱帯細胞のPG発現を制御し、新しい緑内障遺伝子治療開発の可能性を示唆している。 以上の実験より、原発開放隅角緑内障の房水流出抵抗上昇メカニズムに房水中TGF-β2の異常上昇が線維柱帯細胞のPG産生上昇が関与している可能性と遺伝子治療による緑内障治療開発の可能性を示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Okazaki K 他: "Facilitated introduction of DNA and oligonucleotides into primate trabecular meshwork cells by HVJ liposome methools" Invest Ophthalmol Vis Sci. (印刷中). (1998)
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[Publications] Muto T 他: "Transforming growth factor-β2 up-regulated erpression of proteoglycan decorin in trabeculor meshwork cells" Invest Ophthalmol Vis Sci. (印刷中). (1998)
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[Publications] Katsuta H 他: "Transforming growth factor-β2 in agueais humor is increased in eyes with primary open angle glaucoma,but not with pseudoex fotation syndrome and primary angle clasure glaucoma" Invest Ophthalmol Vis Sci. (印刷中). (1998)
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[Publications] Hangai M 他: "Introduction of DNA into the rat and primate trabecular meshwork by fusogenic liposomes" Invest Ophthalmol Vis Sci. (印刷中). (1998)
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[Publications] Tanihara H 他: "Up-regulation of glial fibrillary acidic protein in the retina of eyes with experimental glaucoma" Archives of Ophthalmology. 115. 752-756 (1997)
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[Publications] Tanihara H 他: "Prolonged impairment of peripheral corneal epithelium barrier function after successful trabeculectomy" American Journal of Ophtbalmology. 123. 487-493 (1997)