1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457475
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
大隈 典子 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第七部, 室長 (00220343)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江藤 一洋 東京医科歯科大学, 歯学研究科, 教授 (30014161)
|
Keywords | Pax-6遺伝子 / 変異ラット / 中脳 / 神経堤細胞 / 細胞移動 / LewisX糖鎖 / フコース転移酵素 / HNK-1 epitope |
Research Abstract |
脊椎動物の脳形成は、神経管形成、頭部神経堤細胞の遊走と分化、脳・脳神経・感覚器の発生などを含む複雑な過程である。ヒトにおいてこのような過程になんらかの異常が生じると、例えば外脳症、口唇口蓋裂、小顎症、歯牙の形成不全といったさまざまな奇形となって現れる。本研究では、頭顔面奇形を有するミュータントラット(内田ラット)を実験材料とし、哺乳類頭顔面・脳・脳神経の発生機序を解明するために、形態学的・実験発生学的・分子細胞生物学的アプローチにより、多角的な解析を行うことを主たる目的とする。中脳神経堤細胞の移動経路である前頭鼻隆起上皮にはPax-6遺伝子が特異的に発現している。ホモ胚ではこの経路をたどる中脳神経堤細胞の移動が阻害されている。正常発生胚では前頭鼻隆起上皮でLewis Xという糖鎖が局在しており、逆にホモ胚ではHNK-1 epitopeが発現している。HNK-1 epitopeはLewis X糖鎖と共通の前駆体糖鎖から合成されうる。そこで、正常発生胚とホモ胚でフコース転移酵素の活性を生化学的に測定し比較したところ、ホモ胚ではこのLeX糖鎖の合成に関わるフコース転移酵素活性が有意に低いことが明らかになった。既知のフコース転移酵素遺伝子をラット胚脳のcDNAライブラリーよりクローニングし、発現を解析したところ、ホモ胚と正常発生胚の間で発現様式には差がなかった。今後、前頭鼻隆起上皮におけるLewis X糖鎖の合成に関わる未知のフコース転移酵素遺伝子の同定を試みる予定である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Osumi-Yamashita N.et al.: "Cranial anomaly of homozygous rSey rat is associated with a defect in the migration pathway of midbrain crest cells." Devel.Growth&Differ.39. 53-67 (1997)
-
[Publications] Chareonvit,S.et al: "Murine forebrain and midbrain crest cells generate different characteristic derivatives in vitro." Develop.Growth Differ.39. 493-503 (1997)
-
[Publications] Osumi,N.et al.: "Pax-6 is involved in specification of the hindbrain motor neuron subtype." Development. 124. 2961-297 (1997)
-
[Publications] Osumi-Yamashita N.et al.: "Craniofacial embryology in vitro." Int.J.Devel.Biol.41. 187-194 (1997)
-
[Publications] 大隅典子: "レチノイン酸と哺乳類の胚発生-奇形学から発生生物学へ" 細胞工学. 16(5). 696-705 (1997)
-
[Publications] 大隅典子: "神経堤細胞と頭部形成" 細胞. 29. 415-421 (1997)
-
[Publications] 倉谷 滋、大隅典子: "神経堤細胞‐脊椎動物のボディプランを支えるもの" UPバイオロジー、東大出版会, 130 (1997)