1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457480
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浜田 茂幸 大阪大学, 歯学部, 教授 (60028777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 重忠 大阪大学, 歯学部, 講師 (50273694)
木村 重信 大阪大学, 歯学部, 助教授 (10177917)
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / 線毛 / プロテアーゼ / フィブロネクチン / アルギニン |
Research Abstract |
Porphyromonas gingivalisの付着と定着のメカニズムについては不明な点が多いが,本菌の線毛と宿主細胞表面との相互作用の解明は,本菌感染の第一段階として極めて重要である.平成8年度の研究において,我々は,本菌の産生するArg特異的システインプロテアーゼが宿主組織マトリックス蛋白質を部分分解し,その結果本菌の線毛の付着が顕著に亢進されることを見出した.この現象は本菌の宿主組織への定着において線毛とプロテアーゼが密接に関与していることを示唆している.そこで本年度の研究ではこの点について詳細な解析を試みた. P.gingivalis 381株の精製線毛の固相化したフィブロネクチン(FN)への付着は,ビオチン化線毛を用いたEnzyme-linked biotin-avidin(ELBA)法により測定した.合成Arg含有ペプチドの線毛の付着への影響は付着阻害により定量した.また線毛-FN間の相互作用はBIAcoreシステム(Pharmacia)を用いて解析した.FN,精製したP.gingivalisプロテアーゼによるFN部分分解物,およびGly-Xジペプチドをそれぞれセンサーチップ上の樹脂へ固相化後,線毛溶液を注入し,両者の結合を共鳴シグナルによって検出した. ELBAによる線毛付着阻害実験は,C末端にArg残基を有するペプチドが線毛の付着を効果的に抑制することを明らかにした.BIAcoreでの解析プロフィールから,線毛のFNへの結合がプロテアーゼの作用によって顕著に上昇すること,また,線毛はArg残基にのみ相互作用を示すことが改めて示された.以上より,線毛はArg残基,特にC末端Arg残基に対して強い親和性を有することが明らかとなり,P.gingivalisプロテアーゼは宿主細胞のマトリックスタンパクに内在する線毛レセプターを顕在化する点で宿主組織への感染に際して極めて重要な働きをしていることが示唆された.
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