1996 Fiscal Year Annual Research Report
P.gingivalisの歯周病原性に関する分子生物学的解析
Project/Area Number |
08457485
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
梅本 俊夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (20067036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 祐介 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (20267511)
浜田 信城 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (20247315)
吉本 尚 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (60084787)
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / 細胞付着性 / 線毛遺伝子 / fimA不活化株 |
Research Abstract |
Porphyromonas gingivalisの歯周組織細胞への付着に同菌の線毛が重要な役割を果たしていると考えられているが、直接的証明は得られていない。 そこで、本研究では、線毛遺伝子fimAを用いて遺伝子の相同組換えにより線毛遺伝子不活化株を作製することによりP.gingivalisのヒト細胞への付着性、ひいては歯肉溝内定着性における線毛の役割について分子生物学的に検討した。 線毛不活化株の作製は、P.gingivalisのfimA遺伝子内にpE5-2由来のテトラサイクリン(Tc')、クリンダマイシン(Cc')、およびエリスロマイシン(Em')の耐性遺伝子を含む3.8kb EcoR1 DNA断片を挿入して作製した。即ち、3.8kb EcoR1 DNA断片をpUC13 Bg12.1中のfimA遺伝子のEcoT部分に挿入してプラスミドpEM1を作製し、さらにプラスミドpEM1の5.4mb Pvul断片をスイサイドベクターpGP704のSmal部分に挿入してpkDHを作製した。次いでpkDH1を接合伝達によりP.gingivalis ATCC33277株菌体内に入れ、遺伝子の相同組換えを行った。 本実験において遺伝子の相同組換えにより作製した線毛遺伝子不活化株では、細胞付着に関与すると考えられている長い線毛(0.5〜1.0μm)の欠損が確認された。またヒト培養歯肉線維芽細胞への付着状態を走査電子顕微鏡により観察したところ、親株では細胞表面に大きな菌塊を形成して付着しており、細胞からは微絨毛の出現が認められたが、線毛欠失変異株ではこのような現象は認められず、細胞全体にまばらに付着しているのみであった。一方、血球凝集性や細胞表面の疎水性については変異株においても変化は認められなかった。 これらの結果から、線毛遺伝子fimAにコードされているP.gingivalisの線毛は、ヒト口腔由来の細胞への付着に関与する因子であることが分子生物学的に証明された。
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