1998 Fiscal Year Annual Research Report
味覚情報変換における味細胞のイオンチャネルとセカンドメッセンジャーの分子機構
Project/Area Number |
08457491
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐藤 俊英 長崎大学, 歯学部, 教授 (60013968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤山 理恵 長崎大学, 歯学部, 助手 (10274664)
宮本 武典 長崎大学, 歯学部, 助手 (10167679)
岡田 幸雄 長崎大学, 歯学部, 助教授 (60136687)
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Keywords | スナネズミ / 味細胞 / パッチクランプ法 / cAMP / IP_3 / 細胞内Ca^<2+> / K^+チャネル / Ca^<2+>量画像解析法 |
Research Abstract |
1. スナネズミ味細胞における甘味刺激の変換過程を、パッチクランプ法及びCa^<2+>量画像解析法で調べた。サッカリンのような一群の甘味刺激に対して外向きK^+電流は抑制された。同様にcAMPの味細胞内注入によって外向きK^+電流は抑制された。この実験は、サッカリンの受容体への結合後、Gタンパク質・アデニル酸シクラーゼの活性化、cAMPセカンドメッセンジャーの産生、プロティンキナーゼAを介してのK^+チャネルの閉口によって脱分極応答が発生することを示唆する。他種甘味物質のフェニールアラキンは味細胞いCa^<2+>依存性K^+電流を発生させて外向きK^+電流が増大した。味細胞内にIP_3を注入すると同様にK^+電流が増大した。このことはフェニールアラニン等の甘味物質刺激では、IP_3セカンドメッセンジャーが産生され小胞体からCa^<2+>を放出させ、これがCa^<2+>依存性K^+電流を誘発させる。同様に放出されたCa^<2+>がシナプス小胞に直接作用して味神経のインパルス発生に関与すると考えられる。 2. 細胞ないCa^<2+>量[Ca^<2+>]_iはFura2で処理した味細胞で検索した。Ca^<2+>を含まないショ糖刺激では[Ca^<2+>]_iは変化しなかった。他方、他種の甘味のフェニールアラニン刺激ではその液中のCa^<2+>の有無に関わらず[Ca^<2+>]_iは増した。このことは上述の電気生理学的実験結果を支持し、ショ糖変換のセカンドメッセンジャーはcAMP、フェニールアラニンの変換のそれはIP_3であることを示唆する。
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[Publications] 佐藤 俊英: "哺乳動物の味細胞における味刺激の変換" 比較生理生化学. 15. 114-123 (1998)
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[Publications] Fujiyama,R.,et al.: "Intracellular free calcium concentration in human taste bud cells increases in response to taste stimuli." FEBS Lett.434. 47-50 (1998)
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[Publications] Miyamoto,T.,et al.: "Sour transduction involves activation of NPPB-sensitive conductance in mouse taste cells." J.Neurophysiol.80. 1852-1859 (1998)
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[Publications] 星猛ら: "医科生理学展望" 丸善, 851 (1998)