1997 Fiscal Year Annual Research Report
トランスフォーミング成長因子の歯根膜線維芽細胞機能制御に関する研究
Project/Area Number |
08457506
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
新井 英雄 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70222718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 慶壮 岡山大学, 歯学部, 助手 (70243475)
滝川 雅之 岡山大学, 歯学部, 助手 (60243474)
西村 英紀 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (80208222)
高柴 正悟 岡山大学, 歯学部, 助教授 (50226768)
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Keywords | 歯根膜線維芽細胞 / トランスフォーミング成長因子(TGF-β) / 歯周組織再生 |
Research Abstract |
【研究目的】 歯周組織再生のメカニズムに焦点をあて,歯根膜線維芽細胞が再生能力を最大限に発揮できる環境をTGF-βの役割の点から探ること。 【研究戦略】 本年度の当初の計画は,サイトカインによるTGF-β産生の制御とTGF-βに関するオートクライン機構について調べることであったが,TGF-β産生とそのレセプター発現の制御について調べることに変更し,以下の戦略を立てた。 1.培養ヒト歯根膜線維芽細胞におけるTGF-βとそのレセプター(typeI,II,III)のmRNAをRT-PCRで調べた。 2.ラット歯周組織の発生過程におけるTGF-β mRNAの発現をin situハイブリダイゼーションで調べた。 3.歯根膜は生理的な環境下では咬合圧を受け,リモデリングしている。これを培養ヒト歯根膜線維芽細胞に機械的外力(緊張・弛緩力を規則的に一定時間)をかけることによって模倣し,この細胞における機械的刺激のTGF-βとそのレセプター(typeI,I,III)発現に対する作用を調べた。 【結果と考察】 1.培養ヒト歯根膜線維芽細胞はTGF-βとその機能的なレセプターtypeIとtypeIIを同時に発現しており,TGF-βはpracrineの様式で歯周組織再生機能に関わる可能性が示された。さらに,typeIIIレセプターも発現したが,このレセプターは細胞外に分泌される非機能レセプターであり,TGF-βのpracrineの様式を調節する可能性がある。 2.歯根と歯周組織形成期には歯根膜線維芽細胞は活発にTGF-βを発現していた。このことは歯根膜線維芽細胞の産生するTGF-βが歯周組織の再生において重要な役割を果たすことを意味するかも知れない。 3.歯根膜線維芽細胞に機械的外力をかけてもhouse keeping geneであるβ-actinやGAPDHのmRNA発現は変化しないが,TGF-βとそのレセプター発現はいずれも顕著に抑制された。生理的な咬合力の加わる環境下では歯根膜線維芽細胞におけるTGF-βのpracrine様式の作用が抑制され,そのことが歯周組織の再生を困難にしているのかも知れない。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hideo Arai, Fusanori Nishimura, Shogo Takashiba,et al: "The inhibition of DNA synthesis by prostaglandin E_2 in human gingival fibroblasts is independent of the cyclic AMP-protein kinase A signal transduction pathway." Journal of Periodontal Research. (in press). (1997)
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[Publications] 新井英雄: "歯周組織再生における歯根膜線維芽細胞の役割" 歯界展望. 90・6. 1377-1389 (1997)
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[Publications] 樋口豊, 新井英雄, 西村英紀, 高柴正悟他: "ヒト歯肉線維芽細胞のDNA合成および細胞外基質合成に及ぼすTNF-αの影響" 日本歯周病学会会誌. 39・2. 264-272 (1997)
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[Publications] Fusanori Nishimura, Shogo Takashiba,et al.: "Comparison of in vitro proliferative capacity of human periodontal ligament cells in juvenile and aged donors" Oral Disease. 3. 162-166 (1997)