1996 Fiscal Year Annual Research Report
C-fos遺伝子と歯周病病態との関わりに関する基礎的および臨床的研究
Project/Area Number |
08457510
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
長谷川 紘司 昭和大学, 歯学部, 教授 (70014024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩野目 学 昭和大学, 歯学部, 助手 (50245809)
宮澤 康 昭和大学, 歯学部, 助手 (90219775)
小林 誠 昭和大学, 歯学部, 講師 (80186767)
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Keywords | c-fos遺伝子発現 / 歯周病病態形成 / プロスタグランジンE_2 / メタロプロテアーゼ / 細胞増殖 |
Research Abstract |
近年、c-fos遺伝子の、細胞の増殖、分化誘導あるいは骨代謝への関与の可能性が指摘されており、慢性関節リウマチの病態形成への関与も報告されている。そこで今回我々は、c-fos遺伝子発現と歯周病病態形成との関係を名確にすることを目的として実験を行い、以下の結果を得た。 1.炎症歯肉組織中におけるc-fos遺伝子発現部位の確認:健常者および高度歯周炎患者から患者の同意を得た上で歯肉を採取し、c-fos遺伝子の発現部位をin situ hybridization法により確認した。健常者から採取した歯肉中においては、血管内皮細胞にわずかにその発現が認められるにすぎなかった。一方、高度歯周炎患者の炎症歯肉組織中においては、上皮直下の炎症性細胞浸潤部の多くの線維芽細胞および血管内皮細胞にc-fos遺伝子の発現が認められた。 2.ヒト歯肉線維芽細胞(HGF)の増殖およびmatrix metalloproteinase-1,3(MMP-1,3)、prostaglandin E_2(PGE_2)の産生に及ぼすヒト精製IL-1β(rhlL-1β)の作用の検討:HGFをrhlL-1βで刺激後、細胞増殖をMTT比色定量法にて、MMP-1,3、PGE_2産生量をEIA法にて測定した。rhlL-1βはHGFの細胞増殖、およびこれらの因子の産生を濃度依存的に促進した。 3.HGFのc-fos、MMP-1,3、COX-2mRNA発現に及ぼすrhlL-1βの作用の検討:HGFをrhlL-1βで刺激後、c-fos、MMP-1,3、COX-2mRNAの発現をノーザンブロット法にて確認した。c-fos mRNAの発現は、非刺激の条件下では認められなかったが、rhlL-1βで刺激開始後1時間で最大となり、6時間後まで認められた。一方、MMP-1,3、COX-2mRNAの発現は、共に非刺激の条件下でも認められ、rhlL-1βで刺激開始3時間後に最大となった。
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