1997 Fiscal Year Annual Research Report
c-fos遺伝子と歯周病病態との関わりに関する基礎的および臨床的研究
Project/Area Number |
08457510
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
長谷川 紘司 昭和大学, 歯学部, 教授 (70014024)
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Keywords | 歯周病 / c-fos / 歯肉線維芽細胞 / 細胞増殖 / PGE_2産生 / メタロプロテアーゼ産生 |
Research Abstract |
c-fos遺伝子の、細胞の増殖、分化誘導あるいは骨代謝への関与の可能性が指摘されており、慢性関節リウマチの病態形成への関与も報告されている。そこで我々は、c-fos遺伝子発現と歯周病病態形成との関係を明確にすることを目的として実験を行い、今までに(1).高度歯周炎患者の炎症歯肉組織中において、上皮直下の炎症性細胞浸潤部の多くの細胞にc-fos遺伝子の発現が認められること。(2).ヒト精製lL-1β(rhlL-1β)はヒト歯肉線維芽細胞(HGF)の細胞増殖、matrix metall oproteinase-1,3 (MMP-1,3)、prostaglandin E2(PGE2)の産生およびc-fos、MMP-1,3、COX-2mRNAの発現を促進することを明かにした。そこで今回我々は、さらに研究を進め以下に示す結果を得た。 1.抗fos抗体がrhlL-1βで刺激したHGFのMMP-1,3、COX-2mRNA発現に及ぼす作用の検討:HGFを抗fos抗体で前処理後、rhlL-1β(0,2.5ng/ml)と抗fos抗体でさらに刺激し、MMP-1,3、COX-2mRNAの発現をノーザンブロット法にて確認した。抗fos抗体の前処理は恒常的なMMP-1,3とCOX-2mRNAの発現に影響を与えなかったが、rhlL-1βにより誘導されるこれらのmRNA発現を部分的に抑制した。 2.HGFのAP-1活性化がMMP-1,3、COX-2mRNA発現に及ぼす作用についての検討:HGFをAP-1の主要なinhibitorであるcurcuminの存在あるいは非存在下において、rhlL-1βで刺激し、転写因子の1つであるAP-1の活性化をgel mobility shift assayにて検討した。rhlL-1βはHGFのAP-1活性化を促進し、curcuminはrhlL-1βが誘導するMMP-1,3とCOX-2mRNAの発現を抑制した。 現在我々は、AP-1の活性化とMMP-1,3、COX-2mRNA発現におよぼす抗fos抗体の作用を検討している。
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