1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457537
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
甘利 光治 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (10067043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金丸 直之 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (90267782)
土屋 総一郎 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (70236909)
小坂 茂 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (40225412)
大島 和成 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (90064667)
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Keywords | ポスト装着歯 / ポスト / 歯根破折 / 歯質の亀裂 / 力学的歯質破折実験 / 歯質内亀裂の発生と進展 |
Research Abstract |
ポスト装着歯の歯質に生じる亀裂や破折の様相を知るために、ヒト抜去歯120歯(上顎中切歯、同側切歯、各60歯)に類ポストクラウンを製作、樹脂ブロックに植立後、6群に分け、傾斜荷重負荷実験を行い肉眼的観察、力学的観察および組織学的観察を行い、以下の結果および結論を得た。 1. 観察結果. (1) 肉眼的観察結果4部分的破折や亀裂を58歯の歯根表面に認め、根面隣接面中央部付近から、やや唇面方向に2.0〜4.0mm位のものが多く、ポストが舌側根面より浮き上がっているか、疑えるものも51歯を数えた。 (2) 万能引張り試験機による力学的(グラフ)観察結果278歯に破折や亀裂、ポスト脱離やセメントの部分破壊がうかがえた。21歯は負荷に耐え、特異な所見を認めなかった。 (3) 組織学的観察結果.類型的な様相は、根面部あるいはやや下方の隣接面中央部、もしくは唇側部より範囲に差はあるが、近遠心的な幅をもって、唇側下方に向って、類半円形的に進展している。形状はやや複雑で、複数みられるものや途中で分枝しているものもあった。またポスト周辺部から発生、進展の可能性が十分に考えられた所見であった。 2. 結論.上顎前歯部の場合の破折や亀裂は、隣接面部周辺に多発し、ポスト周辺から発生する可能性が高く、亀裂が歯質途中で分枝し、消滅しているものがあることなどを考え合わせると、術後に破折を招くことは、十分に考えられ、隣接面部の歯質の保存、保護法には、十分対処する必要のあることが分かると同時に、これからの高齢化社会に備えて、高齢者特有の歯の形状を考えると、これまで以上にその重要性が本研究から示唆された。
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