1997 Fiscal Year Annual Research Report
口腔白板症の悪性化を予測可能にする遺伝子診断法の開発・研究
Project/Area Number |
08457539
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野谷 健一 北海道大学, 歯学部, 助教授 (70113602)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進藤 正信 北海道大学, 歯学部, 助教授 (20162802)
千葉 逸朗 北海道大学, 歯学部, 助手 (50250460)
|
Keywords | 口腔扁平上皮癌 / スリランカ / 噛みタバコ / p53遺伝子 / 前癌病変 / 遺伝子の不安定性 |
Research Abstract |
申請者らは病理組織学的に扁平上皮癌と診断された患者を対象に、その生検組織、あるいは外科切除組織を用い、p53遺伝子の異常ならびにヒトパピローマウイルス(HPV)の感染について検索し、高頻度にp53遺伝子の異常、HPVの感染を認めた(Oncogene,12:1663-1668,1996)。また、噛みタバコの習慣のあるスリランカの口腔癌、前癌病変(International Journal of Cancer投稿中)、あるいは口腔癌の動物モデルであるDMBA誘発ハムスター頬粘膜扁平上皮癌、前癌病変(日本口腔外科学会雑誌,42:347-362,1996)についても同様の検索を行い、それぞれの遺伝子異常の相違について検討した。その結果、スリランカの口腔癌ではp53遺伝子のエクソン5に遺伝子の一部欠失を含む比較的大きな遺伝子異常が数多く認められた。これは日本人の口腔癌やDMBA誘発ハムスター頬粘膜扁平上皮癌ではあまり認められないことから、噛みタバコの成分中にP53遺伝子のエクソン5に特異的に異常をきたす因子が含まれていることを示唆している。このように遺伝子の特定の部位に異常が集積することから噛みタバコ中の特定の成分が発癌物質としてp53遺伝子をはじめ、他の遺伝子の特定の部位にも異常をきたしたり、修復障害をきたすという可能性が示唆された。このp53遺伝子の異常を同定する方法の一つとして新たにycast functional assayを導入し、より簡便、かつ正確な診断を可能にした(Oncogene,15:2667-2674,1997)。現在さらにras遺伝子群についてもMASA(mutant allele specific amplification)を用いて詳細に検討を行い、DMBA誘発ハムスター頬嚢粘膜癌では比較的早期に異常が起こっていることを明らかにした(未公表)。またこれらの異常が癌化のどの段階で起こっているかを前癌病変の組織を用いて検討している。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Itsuo Chiba: "Mutations in the p53 gene and human papillomavirus infection as significant prognostic factors in squamous cellcarcinomas of the oral cavity." Oncogene. 12. 1663-1668 (1996)
-
[Publications] Haruhiko Kashiwazaki: "High frequency of p53 mutations in human oral epithelial dysplasia and primary squamous cell carcinoma detected by yeast functional assay." Oncogene. 15. 2667-2674 (1997)