1998 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌特異的細胞障害性Tリンパ球による腫瘍重度遺伝子治療
Project/Area Number |
08457541
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高橋 雄三 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (50014329)
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Keywords | 口腔癌 / 腫瘍特異的CTL / CD80遺伝子導入 / 腫瘍重度遺伝子治療 / 特異的免疫療法 |
Research Abstract |
口腔癌を含む頭頚部癌においても、腫瘍特異的CTL誘導の試みが行われたが、CTL誘導は容易ではない。また、CTL誘導成功例のほとんどは細胞源として、腫瘍浸潤リンパ球を用いており、末梢血リンパ球からのCTL誘導の報告はほとんどない。口腔癌を含む多くの固型癌細胞において、CD80の発現はほとんど認められず、がん細胞に対するT細胞反応を惹起できない理由として、このCD80の欠如が考えられる。そこで、ヒトCD80遺伝子を口腔扁平上皮癌細胞に導入し、人為的にCD80分子を発現させることによる末梢血リンパ球からの腫瘍特異的CTL誘導の可能性につき検討し、以下の知見が得られたので報告する。 1、 口腔癌細胞において、抗腫瘍免疫反応に関わる細胞表面抗原を調べたところ、MHC class IおよびCD54の十分な発現を認めたが、CD80の発現は欠如していた。 2、 アデノウイルスベクターを用いることにより、短時間で高効率かつ充分量のCD80分子の発現を得ることができた。 3、 同種末梢血リンパ球からは、悪性黒色腫においてCD80遺伝子導入の効果を見ることができたが、口腔扁平上皮癌においては効果を認めることができなかった。 4、 口腔癌患者末梢血リンパ球から、CD80遺伝子導入自家癌とIL-12およびIL-2の組み合わせで、自家癌に対する腫瘍特異的CTLを誘導することができたが、十分な細胞数の確保が困難であった。 今後以上のことを念頭に、さらに効果的な遺伝子やサイトカインとの組み合わせが口腔癌特異的CTL誘導には必要と考えられる。
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