1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457542
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Research Institution | TOKYO MEDICAL AND DENTAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 弘通 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (40110720)
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Keywords | ATP / adenosine / colored microspheres / myocardial infarction / dental treatment / nitric oxide concentration |
Research Abstract |
社会の長寿化に伴い、歯科治療に訪れる人の全身的な合併症を有する割合も著しく増加している。なかでも重篤で歯科治療に際して細心の注意を払わなければならない疾患は心筋梗塞である。心筋梗塞をもつ患者の歯科治療に際して安全で有効な薬剤を治療前から治療中に投与して、100%発症を防ぐことが必要と考え、本研究を計画した。心筋梗塞の発症予防に有効な薬剤として、ATPに注目した。ATPは強力な血管拡張作用をもち、心臓の冠血管拡張作用もある。そこで、この冠血管拡張作用をもつATPの臨床における有用性を最終的に確認するために今回は動物を用いての基礎的研究を行った。家兎に全身麻酔下気管内挿管を行い、麻酔の維持は酸素・空気・イソフルレンとした。開胸し、心臓の左心耳にカニュレーションし、カラード・マイクロソフェアの注入路とした。冠状動脈の左下降枝近傍にNO測定電極と組織酸素分圧(PO_2)電極を挿入固定した。2mmの深さの電極で心筋の外層のPO2を測定し、4mmの深さの電極で心筋の内層のPO2を同時に測定した。以上の実験準備を行い、家兎の状態が安定したところでカラード・マイクロスフェア法により、心筋組織血流量を測定し、つぎに心臓の冠状動脈のうち左下降枝を人為的に結紮し、狭窄心の状態にし、同様に組織血流量を測定した。この状態でATPを1mg/kg耳静脈より注入し、同様に組織血流量を測定した。同様の手法で、他の家兎に別の薬剤ニトログリセリンに投与してその都度にカラード・マイクロソフェアを注入して冠状動脈の潅流する部分の組織血流量を測定し、ATPと比較した。その結果、冠状動脈の結紮時や薬剤投与時の組織から発生するNOやPO2の測定結果からATPがニトログリセリンよりもNOの発生を抑制し、心筋内層ならびに外層のPO2を低下させないことを比較証明した。以上の基礎研究の結果から新たに次回の臨床的検討に取り組む。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 加藤誠一: "ATP低血圧麻酔時の臓器局所血流量ならびに心筋PO_2およびNO濃度について-ウサギでのカラードマイクロソフェア法による局所血流量測定-" 日本歯科麻酔学会雑誌. 25巻・2号. 184-196 (1997)
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[Publications] 伊藤弘通: "歯科治療時の心筋梗塞発症の予防に関する基礎的研究" 日本歯科麻酔学会雑誌. (発表予定). (1997)