1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457544
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山本 悦秀 金沢大学, 医学部, 教授 (00092445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 茂宏 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (00215013)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 正所性移植モデル / 浸潤像 / 基底膜 / 細胞膜接着 / 増殖細胞核抗原 / マトリックスメタロプロテナーゼ |
Research Abstract |
研究代表者の山本は1983年に新しい浸潤様式分類を発表して以来、口腔扁平上皮癌の浸潤機序の解明を目的とした実験的研究を系統的に行い、in vitroモデルやin vivoモデルについての成果の一端を既に発表してきた。本研究では5種類のヒト口腔扁平上皮癌細胞を用い、ヌードマウスの口腔内に正所性移植し、その浸潤像について免疫組織学的ならびに基質分解酵素の活性をゼラチンザイモグラフィにて詳細に検討したので報告する。移植を行った癌細胞は4種類のヒト口腔扁平上皮癌細胞で、OSC-19、OSC-20、FA、TT細胞を使用した。移植方法は癌細胞を培養液中で8×10^6個/mlの濃度に調製し、ヌードマウスの口腔内に移植した。口腔内移植腫瘍の組織像は各々の細胞の由来する原発腫瘍でのものと類似していた。また、頸部リンパ節転移はOSC-19細胞が81%、TT細胞が50%に認められ、この2つの細胞は浸潤様式が4C型を呈してした。IV型コラーゲンの免疫染色の結果では、リンパ節転移がみられなかったFA細胞では胞巣周囲に連続線状に認められたが、その他の転移のみられた細胞では基底膜の断裂や消失が観察された。デスモグレイン(DG)の免疫染色の結果では、FA細胞では腫瘍細胞間にDG陽性部分を認めたが、その他の細胞ではDGの減弱が観察された。しかし、浸潤先進部のPCNA陽性率の検討を行ったが、浸潤像との明らかな相関は認められなかった。マトリックスメタロプメテナーゼ(MMP)の染色結果では、最も高浸潤・高転移性のOSC-19細胞のみがMMP-1,MMP-2とMMP-9のすべてが陽性であった。また、ゼラチンザイモグラムで培養上清に含まれる酵素を調べると、4種類の癌細胞のすべてに72kDaと92kDaの位置にゼラチン分解活性を示すバンドが見られたが、このバンドの強度はOSC-20、FA細胞に比較して浸潤様式4C型を示したOSC-19、TT細胞が明らかに強く観察された。以上の結果より、口腔扁平上皮癌における個々の浸潤像は癌細胞と間質あるいは癌細胞同士の相互関係が重要な因子として影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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