1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457547
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松浦 英夫 大阪大学, 歯学部, 教授 (10029978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 均 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (30218250)
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Keywords | 高齢者歯科 / 口腔機能 / 全身疾患 |
Research Abstract |
特別養護老人ホーム入所者289名を対象として,全身状態と口腔内状況を調査した.その結果,全身的基礎疾患としては,循環器系疾患が大半を占めた.心電図所見では何らかの異常が約80%にみられ,その大半のものに自覚症状は欠如していた.ADLの低下がそのまま口腔衛生状態および口腔機能の低下に結びつくことが示唆された.片麻痺患者では,部分床義歯装着時にクラスプなどの維持装置の扱いが困難なため,装着率が極端に低かった.虚血性心疾患患者では,積極的な歯科治療が敬遠されてきたため,口腔内状況が極めて悪かった.痴呆患者では食欲減退の原因が歯科疾患による場合もあり注意が必要であった. 高齢者は嚥下の予備能力が低下し誤嚥の危険性が高い.そこで入所者29に対して『水飲みテスト』と,嚥下時の舌運動を超音波断層法にて観察した.さらに対象の誤嚥,肺炎の既往の有無,口腔内の状態,食餌の形態と摂食時の状況などの背景因子との関連性を調査した.その結果,『水飲みテスト』異常者に舌運動の異常が多く観察された.また,高齢者の肺炎が嚥下機能の低下と密接に関連していることが判明した. また,入所者で,何らかの循環器系疾患を有する21名に対して,歯科治療を行った際の血圧,心電図,動脈血の酸素飽和度を調べた.その結果,全身状態が比較的良くコントロールされ,安静時の心電図に異常所見がなくても,歯科治療による,血圧の上昇は避けられず,上室性および心室性期外収縮も高頻度で見られた. 現在,歯科治療中の循環動態の変動をさらに詳しく分析するため,治療中の心拍出量,血漿カテコールアミンの変動について検討中である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 金容善他: "特別養護老人ホームにおける歯科診療-第一報 全身状態と口腔内状況との関連について" 老年歯学. 11(1). 52-61 (1996)
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[Publications] 金容善他: "特別養護老人ホーム入所者の嚥下機能の評価-超音波断層法による「水のみテスト」時の舌運動機能の観察-" 老年歯学. 11(2). 124-135 (1996)
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[Publications] 金容善他: "特別養護老人ホームにおける歯科診療-第2報 トノメトリ法による連続的血圧測定装置の歯科における有用性の検討-" 老年歯学. 11(2). 118-123 (1996)