1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457547
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松浦 英夫 大阪大学, 歯学部, 教授 (10029978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 均 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (30218250)
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Keywords | 高齢者歯科 / 口腔機能 / 全身疾患 |
Research Abstract |
特別養護老人ホーム入所者を対象として,全身状態と口腔内状況を調査した.その結果,全身的基礎疾患としては,循環器系疾患が大半を占めた.心電図所見では何らかの異常が約80%にみられ,その大半に自覚症状は欠如していた.また,ADLの低下がそのまま口腔衛生状態および口腔機能の低下に結びつくことも示唆された.片麻痺患者では,部分床義歯装着時にクラスプなどの維持装置の扱いが困難なため,義歯の装着率が極端に低くく,一方,虚血性心疾患患者では,積極的な歯科治療が敬遠されてきたため,口腔内状況が極めて悪かった.痴呆患者では食欲減退の原因が歯科疾患による場合もあり注意が必要であった. ホームでの2年6ヶ月間の歯科診療の結果,患者数は156名で,平均年齢は79.7歳であった.主訴としては義歯に関連したものが半数以上を占め,加齢が進むにつれてその割合も増加した.受診回数は一人平均11.1回であった.この間に19名が死亡し,死亡平均年齢は84.6歳であった.ホーム入所者の口腔衛生状態や全身状態は不良であり,ホーム内に歯科診療室があれば入所者の定期的な受診と先を見据えた診療が可能で,大きな成果を挙げることが期待される. 一方,入所者で,何らかの循環器系疾患を有する21名に対して,歯科治療中の血圧,心電図を調べた.その結果,全身状態が比較的良くコントロールされ,安静時の心電図に異常所見がなくても,歯科中の血圧の上昇は避けられず,上室性および心室性期外収縮も高頻度で見られた.また,高齢者に対して,歯科用局所麻酔薬として8万倍エピネフリン添加2%リドカイン3.6mlを投与したときの循環動態に及ぼす影響についても評価した.
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[Publications] 金容善 他: "特別養護老人ホームにおける歯科診療-第1報 全身状態と口腔内状況の関連について-" 老年歯科医学. 11(1). 52-61 (1996)
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[Publications] 金容善 他: "特別養護老人ホームにおける歯科診療-第2報 トノメトリ法による連続的血圧測定装置の歯科における有用性の検討-" 老年歯科医学. 11(2). 118-123 (1996)
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[Publications] 金容善 他: "特別養護老人ホームにおける歯科診療-第3報 診療経過からみた歯科医療の必要性と問題点について" 老年歯科医学. 12(1). 18-25 (1997)