1997 Fiscal Year Annual Research Report
鎮痛作用、抗不安作用に関するNitric Oxideの脳内情報伝達物質としての役割
Project/Area Number |
08457551
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鮎瀬 卓郎 長崎大学, 歯学部・附属病院, 助教授 (20222705)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 信 長崎大学, 歯学部・附属病院, 助手 (70295088)
|
Keywords | 痛み / 不安 / 脳内物質 / Nitric Oxide |
Research Abstract |
本年度の研究計画に基づき、ラットを用いて以下の実験を行った。 1.脳内Ntric Oxide(NO)の活性をラットの海馬に挿入したプローベからMicrodialysisを用いて測定した。まず、安静状態で経時的に4〜5時間NO活性を測定して定常状態でのラット海馬での産生量を調べた結果、安静時のNO活性は約20pmolであった。次にNMDA(1mmol)を投与する事によりNO活性を上昇させ(40%)、NO酵素阻害剤であるL-NAMEを(100mg/kg)投与してNO活性の低下(30%)を確認した。 以上の研究では、ラット海馬でのMicrodialysisによるNO活性の測定が定量性のある方法が確認された。 2.従来より用いてきたコンフリクトモデルに加え、高架式十字迷路を作成し、ラットの行動変化の妥当性を検討した。モデルは高さ50cmの片方が開放されている十字の迷路で、開放されている迷路に侵入する回数(%)と、その時間(分)を評価する方法であるが、抗不安効果発現と脳内NO活性に関連があるかどうかを行動変化から検討した。ラットを4群に分け、それぞれ生食投与群(対照群)、ミダゾラム(1.5〜3mg/kg)投与群、7nitro indazole(7-NI) (10〜100mg/kg)、L-NAME(10〜100mg/kg)を投与した時の行動変化を観察した。その結果、生食投与群(6.7%、8.7秒)に比べ、ミダゾラム3mg/kg投与群(24%、47.5秒)、7-NI(100mg/kg)投与群(30%、30秒)は有意に抗不安効果が認められた。しかしL-NAME(100mg/kg)投与群では明らかな抗不安効果は認めれなかった。 3.上記の予備実験結果を踏まえて、各薬剤投与時の高架式十字迷路での行動変化に伴う脳内NO活性の経時的な変化を無拘束下でのMicrodialysis法を用いて測定し、抗不安効果と脳内NO活性の直接的な証明を行っており、現在までに新知見が得られている。
|