1996 Fiscal Year Annual Research Report
歯科浸潤麻酔時の添加エピネフリン濃度による局所麻酔効果に関する研究
Project/Area Number |
08457558
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
雨宮 義弘 鶴見大学, 歯学部, 教授 (60130952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 真美 鶴見大学, 歯学部, 助手 (00205832)
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Keywords | 局所麻酔薬 / エピネフリン濃度 / 体性感覚誘発電位 / 局所麻酔効果 |
Research Abstract |
【目的】現在,歯科用局所麻酔薬の添加エピネフリン濃度は1/8万であり高濃度のため循環動態に影響を与えやすく,増加しつつある高齢者や心疾患患者への投与には生命への危険性が懸念される.この影響を避けるために含有エピネフリンの濃度を下げる必要がある.我々は,これまでにラット歯髄神経への局所麻酔薬の浸潤麻酔効果を体性感覚誘発電位(SEP)を用いて定量的に検討し,硬組織を介する場合は軟組織のみへの効果と効力に差が生じることを指摘した(日歯麻誌,15(3),485-494,1987.,16(1),10-22,1988.). そこで今回,硬組織を介して浸潤麻酔を行う場合に,局所麻酔効果を低下させずによりエピネフリン含有量を低下させることを目標として本研究を計画した. 【方法】週齢7〜10の雄性ウィスター系ラットを用い,チアミラールナトリウムによる浅麻酔下で実験を行った.誘発電位検査装置(MEB-5504,日本光電,今回購入)を用いて,ラット上顎切歯歯髄に電気刺激を与え,刺激側と反対側の側頭骨骨面よりSEPを導出した.浸潤麻酔は,切歯根尖部相当の口蓋粘膜へそれぞれ0.1ml傍骨膜注射した. 測定はSEP初期成分の頂点間振幅(1Pl-Nl1)の変化を浸潤麻酔注射前(対照値),注射直後より経時的に測定した. 今回は局所麻酔薬として2%リドカイン(L)を用い、添加エピネフリン濃度をそれぞれ1/16万(L-16E),1/8万(L-8E)とした. 【結果】歯髄への浸潤麻酔効果は,L-8EではLに対して最大約2倍の効果を示し,LおよびL-16Eに対して4分値から15分値までの間で有意差が認められた.l-16EはLに対して有意差は認められず,ほぼ同様の経過を示した.効果発現は各薬液とも注射直後よりみられ,最大効果はLで10分値,L-16Eで4分値,L-8Eで8分値であった. 回復は,LとL-16Eはほぼ同様で120分値で対照値の約80%あったが,L-8Eは約60%であった. 【考察】エピネフリンの濃度を減量して口腔内から硬組織を介して歯髄へ浸潤麻酔を奏効させるためには,ある程度局所麻酔薬の濃度を増加させる必要があることが推測された.そこで現在,局所麻酔薬の濃度を高め添加エピネフリン濃度を低くした薬液で硬組織介在時の局所麻酔薬効果を検討している.
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